アーカイブ: 2023年5月

甘いのか酷いのか

ろくでもないニュースの後ろでは、とんでもない(本来、詳細に報道されるべきの)ニュースが一気に続いていますね。

変なカードが保険証を飲み込んでしまい、すべての口座が脆弱な番号にリンクされてしまい、あげく第三者に平気で情報を売られてしまう(もうとっくに、だろう)。

ポータルサイトはいくらでも規約を変えられ、運営側はすべての情報を収集し、一切の責任を負わない。
なに国民に対して不平等条約かけとんかい!? ってぐらい酷い話。

人類最大の環境汚染源である核兵器と核発電は強行推進される。何も学ばない国と世界。世界と国。いや、この国当事者だろう? 原爆を2回も落とされ、史上最悪規模の原発事故を起こした国が、どの面をさらす。

もっと良くしていこうよ… 核など要らない。もっといい選択肢が、人間にはある。そのために目を覚まそうとしていたんだろう? あの時以来。

うやむやにして砂にまかれ、地獄の業火に焼かれる前に、もうちょっと賢くなろうぜ… 兄弟。

— 以上5.31

こういうことを書くと、気を悪くする人もいるだろうと思ったり、詰めが、あるいは見通しがまだまだ甘いと思ったりで
結局寝かせてしまうことも多い。

今回もまたそうなったのだけど(翌日は朝からミサイルとスキャンダル騒ぎ、法案は難なく通過)

それでも残しておく。今は備忘録にしかならないけれども。

— 6.6

目覚ましのための二つの仕掛け

朝は嫌いではないのだけど

朝のテレビは昔から苦手だ うるさすぎる

さぁ起きろと 目覚ましをしているのだろうけど

そのほとんどは どうでもいい情報で

みんなが一斉に 鯉のように餌を撒かれている

そんな風に思えてしまう

朝は静かに迎えたい

その方がはるかに 起動することができる

ものすごい力を感じ取ることも できるんだがや


先日 キルヤで買ったブルーノ・ムナーリの絵本 英語版

一見するとピタゴラスイッチ調 だが

これは難しい

英語版を訳するのが面白いなんて嘯いていたのだけれども

というか ここまでひねくれた文だと何語でも難しいわけで

何度か笑いを屈折させて 機械から出てくる そんなスライスを味わおうとしながら

二週間が経つ

この中に

“Machine for taming alarm clocks”

「目覚ましアラームクロックをおだやかに鳴らす機械じかけ」

というのがある

すばらしく馬鹿馬鹿しくて

目覚めることも眠ることもできない

しずかなベンチ

いい週末だった

余った仕事をし
録音をし
畑に行き
本を読み

疲れ果てて寝る

イベントにも行けず
物足りなかったが
これはこれで理想かもしれない

ガラスのジゼル


ベアトリーチェ・アレマーニャさんの描いた「ガラスのジゼル」

5.14に絵本の店キルヤで行ったライヴでは、この絵本を二部で演りました。

今日はこの本について記し…ますが、背景としてもう一つの本に触れねばなりません。

キルヤさんでライヴするにあたって、僕はこのお店の棚の最上段に鎮座しているひとつの絵本がどうにも気になっていました。


「カール・イブー」

存在感ありすぎの帽子と髭。それと対極にあるような「・・」の目。
カナリアイエローってこれなんだぜ、と誇らしげな小鳥。

以前(数年前)、キルヤ店主ののりこさんとの会話

「これって売り物じゃないですよね」
「はい」

小心者の僕はそれ以上なにも聞けなかったのですが、
今回勇気を出して読ませてもらって、おぉ! と心持ちが変わりました。

「すべてが嫌いな男」であるカール・イブー。
これ以上の内容には触れませんが、そうくるか、と。

ライヴをやるかで逡巡していた僕の、肩を押してくれたのがこの作品です。

さて、ではこの作者さん、他にどんな作品をかいているんだろう、と発見したのがこの「ガラスのジゼル」です。
といってももうとっくに廃刊され、日本版の出版社 も15年前に倒産しています。

それでも、何かただならないものを感じ、古本を探し出すが早いか、イベント名を
「ガラスと木箱とことばたち – くうそうの音楽会 -」にしました。
この名前をのりこさんが大変気に入ってくれたことから、ライヴが形になっていくのです。

出版社の名前は「編集工房くう」
絵本のシリーズ名は「くうの絵本箱」

これもひっかかりました。なにしろ
(…それはまたの機会に)

さておき、絵本そのものに戻ります。

この日本語版は2005/1/1に発行されました。読んでみるとすぐ、隙き紙やコラージュを駆使したそのページの美しさに圧倒され、途中の展開にも驚くのですが、最後に「あれ?」ということになります。

こんな終わり方…?

敢えて記しませんが、当時もいろいろな反応があったようです。

で、僕は今回、これは外国語版にあたってみようと、いろいろ調べました。

ライヴでもう一つ取り上げた “Where the Sidewalk Ends” を英語版から訳したように
英語の絵本って、訳するのが楽しいのです。日本語訳をした人がどう捉えたかも、追体験できる。
(フランス語やイタリア語は、翻訳サイトの力を借りないと理解できません)

海外の YouTube には、「絵本の読み聞かせチャンネル」があるんですね。これがとても参考になりました。

すると! なんと英語版 “Child of Glass” やフランス語原版 “Gisèle de Verre”、イタリア語版 “La Bambina di Vetro” では、結末が全然違っていたのです。少なくとも、現在出版されているものでは。

ということは、日本語版では敢えて訳を変えたか、間違えたか、最近の改訂(2019らしい)で内容が変わったか。
こだわりの強い「編集工房くう」さんが間違ったとは考え難いです。

ベアトリーチェさん本人の気が変わったのかな…
ここはまだわかりません。知ってる方、おられたら教えて欲しいです。
というか、ご本人に訊いてみようか、勇気を出して。


さて、そんなわけで今回のライヴで、この本を僕のベース音楽と共に実演しました。

我ながら、面白いものになったと思います。とてもいい反応がもらえました。

「ガラス」を表現する一環として、譜面台をアクリル版で工作し、絵本を置いています。
これをめくりながらできれば、もっとよかったんだけど…

読んだ内容は、声にするときのテンポもあり、途中からところどころ言い回しを変えました。

そして結末については、今出ている英仏伊版を踏襲しました。より「レジリエント」になっています。

それにしても、「ガラスの子は、頭に浮かべたことがすべてガラスの頭部に映し出され、誰からも思いを隠すことができない」というのは、2005年当時よりも今になって、さらにリアルな状況になっていると思います。

誰もがスマホ越しに人の情報を集め、端末のこちらとあちら側にある二つのガラスを通してコミュニケーションする世界。

「安全に、すべてが覗ける」と錯覚している人類。

何も隠せない、あるいはすべてを自発的に宝箱に書き込む人たち。それはすべての人に筒抜けになり、ビッグデータとしてサーバーに吸われ、AIに活用されていく。

誰もがガラスのジゼルなのです。

24/7の監視社会にあって、自分を保つことってむずかしい。
たとえ割れないにしても、一度もヒビの入ったことのない人って、いるのかな?

これから僕たちは、どうやって生きていくでしょう。

ひとりひとりが、システムを作り操っている側が、共に考えていくべきこと。
考えてもわからない、それでも、心にとめておくこと。

白金とアルミが重なり合う場所

貴金属

14日のライヴの後、さるアジア料理屋で軽く打ち上げをして

そのとき、僕の曲によく「宝石」がでてくるねと言われまして

あれ? そんなはずはないんだけど

ルビー、ラピスラズリ、ターコイズ、シルバー、

…いや、確かにそうだな…

砂、ガラス、石、アスファルト、

そのへんもよく出てくるので、あまり貴金属をあつかってる意識はありませんでした。

本物の宝石はたぶん一つも持ってないし、自分が持ってる宝物って、木と鉄とかニッケルとかでできてます。

というか、以前そういえば

– 僕の音楽を気に入ってくれる人は、レアメタルだ –

なんて、書いてましたね。

あなともぐら

単純というか視野が狭いというか
何かを始めるとすぐにそっちにいっちゃうので
しばらく note をいじっていました。part 2part 3 はご覧になりましたか?

使い分けがまだわかっていませんが、たぶんあっちは、より外向け(外の人とも関わりながら)発表していく場になると思います。それが可能ならば。

でも、記事に反応いただくのとフォローしてもらうのは別のようで、まだまだですね。

twitter がほぼ誰もいない場所に押し込まれてる状態なので、広がりのあるプラットフォームはありがたいのですが、どうなることやら。

文と節

二十一世紀の漂流者の周りは、常に浦島空間です。

それもいいかな、と思いつつ

今度は note をはじめてみました。

こういうのはきっかけですね、ライヴをやったらそのレポート的な記事を

書いてくださった方がいたので。

書きたいことはだいたいここに書くし、商売にするにはまだ準備足りないし

なして note なん? とも思いますが、猫足つける感じで、たまにやろうと思います。

stillbeat | note

ガラスとアクリルとサイドウォーク

5.14 Sunday 母の日

絵本の店キルヤ 14周年企画
ガラスと木箱とことばたち
〜くうそうの音楽会〜
近藤零 ベースひきがたり

お越しくださった皆様、ありがとうございました。
場所そのものが ガラスと木箱とことばたち、のキルヤで
たっぷり演らせてもらいました。

これは準備中
ふたつの木箱と ガラスならぬアクリル譜面台…DIYなり

このあと本番は
ビデオをスタートさせたつもりが写真モードになっており
撮れていませんでした。
いつもこう…まぼろしです

それはさておき

キルヤはとても居心地良く
皆さんを見ているのも楽しく
はじめての17曲(篇)含む2ステージ
合計でいえば27篇
楽しませてもらいました。
Thank you !!

セットリスト

1st
宝石~硝子のない世界~トランスフォーム~ちいさいきこえないおと
Little Italy (Stephen Bishop)
ラピスラズリ3
みつかったぞ
Alba
満たされるつばめになってくれ。
– 換気と小休憩 –
シナモンニッキロール
Where The Sidewalk Ends (Shel Silverstein)
矢印 (onoroff)
つぐみ
あかりをつけたら
~ encore いただいたので
Fish Dancin’ (種ともこ)

2nd
Man in a Shed (Nick Drake)
るびーどろぼう (insp. by Thelonious Monk)
アクリル
Yesterday Morning
ガラスのジゼル (Beatrice Alemagna)
– 換気と小休憩 –
Martha My Dear (Beatles)
No Difference (Shel Silverstein)
Loft & Found
あなたにとどけよう (矢野誠)
Atto In Ma Ni
~ encore いただいたので
でたらめ恐竜シルエット
Quick & Slow

今回は好きなカバー曲も多めに、オリジナル、詩、そしてベアトリーチェ・アレマーニャとシェル・シルヴァスタインと絵本と詩集を、僕のベースと声で表現しました。

シルヴァスタインは「おおきな木」や「ビッグ・オーを探して」の作者としても有名ですよね。
この “Where the Sidewalk Ends” (邦題: 歩道の終るところ)は最近まで知らなかったのですが、日本人にはちょっと刺激が強い? なイラストや展開もありつつ、すごく触発してくれる詩がいっぱいの、絵本〜詩集です。
今回は表題詩ともうひとつを取り上げました。

なんで英語版を買ったかというと、英語教師のお兄さんのお薦めもあったのですが
Sidewalk、という言葉が、いつからかすごく気になっていて

Alan Hampton のアルバムタイトル Moving Sidewalk とか(彼は風貌もどことなく Silverstein 似)、今日カバーした S. Bishop の Little Italy の一節とか、まぁ作品それぞれは1970年代、2010年代、とバラバラですが。
このキルヤも含め、多くの店や会場は、「歩道」に沿ってるわけで。

“side” っていうことはメインは車道なのだけど、それも今後、人類的にずっとそうなのか? とか
昔からかねがね綴ってますが「アスファルトってなんだろう?」 とか。

「子どもたちは知っている、そして矢印をつける」

そう。でも子どもたちだけじゃなくて、大人も子どもも動植物も、想像力の連鎖、ですよね。

アスファルトも走る。人も走る。自然もやみくろも電子も。

ベアトリーチェ「ガラスのジゼル」や、その他の曲についてはまた書きたいと思います。

 

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