カテゴリー: record

バックリィ

先月だったか、ふと気になって
これまであまり真剣に聴かなかった Jeff Buckley を聴いたり、映像を観たり。

彼はスタジオアルバム一枚でこの世を去ってしまった。そのアルバムはたぶん、潜在意識には入っているのだが、親父さんの Tim と比べて、サウンドが少し苦手だったのか、あまり記憶がない。

これって単純に自分のキャパの問題でもあるので、改めて聴いてみるとやっぱ影響受けてた、というか彼がバンドでやってたサウンドは、自分の好きな音楽と共通点多かったんだなと再自覚する。

Television、Yes、Bill Frisell、Led Zep… そしてもちろん Tim Buckley。

なんで苦手だったんだろう? ベース?

今ならいろんな音源や映像に触れられるので、追体験。すごいね、この人。

https://music.apple.com/jp/music-video/grace-bbc-late-show-stereo/1538374733

ギターの人のペダルを踏むタイミングは突っ込みどころがありすぎて…
4人のバンドサウンドって、改めて奥が深い。
自分が若かったら、こんなバンドやってみたいな。

それからこの人、弾き語りのときの波動がとんでもない。Mark Bolan みたい。

アルバムタイトルでもある “Grace” の詞、読んでみた。

これって…ぼかしてるけど
明日戦場に赴く兵士だよなあ。飛行機乗りの。

すごい歌唱だと思うけど、この世界には僕は同意できないな、
彼も若かったし、1994年というときもあったのだろうけど
美談とか運命とか、任務とか大義名分が自分に染みてくる感じとか
それって、今一番、拒絶しなければならないものだと、思ってる。
人間が人間であるためには。

当時の僕は英語読解力がとても低く、わかってもどう思ったか、なんだけど

たぶん、9.11 後に自分で書いた “grace behind the word” は
こういう曲に対する無意識の返歌でもあったのだと思う。DIarY レベルだけども。

そんなことを思った。
日が明けて、違うことを思った。この詞は飛行機乗りを指してなんかいない。
こちらの勝手な思い込みだ。*

だが、
彼のインタビューでも “mortality” という言葉が残っている。

“It’s about not feeling so bad about your own mortality when you have true love.”

えっ…? 「愛があれば」「死すべき運命も」「そう悪くない」…?
あかんやろ、それ。

“Grace is what matters in anything—especially life, especially growth, tragedy, pain, love, death. That’s a quality that I admire very greatly. It keeps you from reaching out for the gun too quickly. It keeps you from destroying things too foolishly. It sort of keeps you alive.”

成長や悲劇、死や愛、何事においても、Grace を感じることで、君は銃に手を伸ばしたり、愚かな破壊願望を持つことから距離を保つことができる - あるいは、彼自身を律するような曲だったのだろうか。

だが彼は結局、30でミシシッピ川に沈んだ。意図的か、事故か、薬や酒のせいかはわからない。

死とは隣り合わせで生きていた Jeff.
フォークヒーローであり幼い彼を捨てた父は、手本でも、反面教師でもあっただろう。
Tim の映像を見ても、その思想の深さと思い切りの良さのようなものが伝わってくる。
だが彼も28で世を去った。

Jeff があの後も生きていたら、どんな表現者になっていただろう。
Tim じいちゃんと Jeff おじさんで、親子共演などしていたら?

田舎道の銀行から出て、この曲のライヴ音源を聴き始めたら
バンが通りかかり、そのナンバーが彼の誕生日だった。
「ひらがな部分」は「は」だった。
これ、「ば」ならもっとよかったな。ナンバープレートに濁点はないんだっけ。

つづく

* 「いい歌詞は、十人が聴けば、十通りに解釈できる」と、あるとき知人が言っていた。
とても説得力があった。今でも、たぶんそうなんだろうなと思っている。

bleecker

八月になり、海を訪れる。

月初には海を観に行く。なにか心のカレンダーのようなものだ。

とはいえ、いつ観ても変わらない。初日の出は別として、いつもこの海は同じだ。
砂があり、海がある。人はいない。それだけ。

たまにサーフィンをしている人、釣竿を投げている人も見かける。ごくたまにだ。


7月は、オリジナル曲を作らなかった。6月に頑張り過ぎた。だが、それだけでもなかった。
何をするにしても、少し振り返ろうと思ったのだ。よって、数年前のアルバムの曲2つに取り組んだ。

実際は、数年前どころか、2000年代初頭に書いた曲だ。目黒区の端にいたあの頃は二度と帰ってこないが、あれはあれでとても貴重だったのだ。自分で落とし前は付けねばなるまい。


それと並行して、もう少し自分のルーツを掘り返したいと思った。そこで振り返ったのが、親子二代で強烈な輝きを残したシンガーソングライターだ。

彼らについては、まだ聴いている途中だ。特に、二代目については、彼の活躍期にどっぷり聴き込んだとは、とても言えないので、その理由含めて振り返り、いろいろ発見している。またの機会に記したい。


そして、彼らのさらにルーツを聴いている。

わかるんだけど、わからない。そんなものだろうか。

とけいをひっぱりだす

時計をひっぱりだせ

river silver [side a] から、長く滞っていた曲を再公開しました。

この曲の背景からいくと、3.15か、今年ならば4.15にリリース、と思っていたのですが、
他に作りたい曲がどんどん出てきて、七夕になりました。

一聴してぷよぷよしていますが、その実は、
確定申告の書類整理にうんうん唸ってて、友達のイベントにも顔を出せないまま日が暮れる、という心情を綴ったものです。
ん、昼間にイベントやってたのか…? 三宿の trois cafe だと思うけど、それ以上の記憶がない。

この腕時計は、当時気に入っていた swatch。動かないまま、今も傍にあります。

Rickenbacker 8 弦を左右で弾いてて、時計が3種類、交代で鳴っています。
今回は2018年リリース時のボーカルトラックは残しつつ、声を重ねました。

そんな感じで、ぼちぼちやってます。

Bandcamp より。しばらくは stillbeat 名義です。

火輪の風と、海の蕾

改めて、六月の二つの作品の紹介。
さっそく聴いてくれた方ありがとう。

五月、すでに雨をたっぷり先取りしてしまったので
梅雨にもかかわらず、創作者の気分は乾いていました。
砂漠だったり、アメリカンだったり。

砂漠 – 未だにエジブトにも中東にも行ったことがない。
小学校の国語の時間に何を思ったか「二十歳になる前にサハラ砂漠に行きたい、でもどうやって帰るか、わからない」と発表したことがあるが、
結局それは果たさず、鳥取砂丘と中田島砂丘にとどまりそうだ。

だが、砂の「なんにもない感」には年々強い何かを感じており、
昨年あたりからの作にも頻繁に砂が出てきている。

構築や成長、変わらないための流転、それらすら許さないような微粒子。
ウィルスと違ってはっきり目視できるけれども、砂のそっけなさって、すごい。

海岸で見てるとわかる。一瞬で濡れて、一瞬で、乾くし。

trojan wheel は、曲と詩を書いた後に決めた題で、それ自体は
トロイの輪
という話を内包している。

これから、どうやっていくか。自分(たち)は。

トロイは、ギリシャ人たちが争い、滅した街。
トロイの木馬はトロイを破壊するために贈り込んだ、アカイア軍の木馬。
コンピューターウィルスの代名詞にもなっている。
だけど回転木馬や揺り木馬がそうであるように、木馬は破壊だけではない何か、別の世界への乗物でもある。はず。

ずいぶん前に書いたが、新宿にあるピエール・バルーさんのラ・ジュテで、不定期に不思議な催しがされていたころ(自分も出入りしていたころ)、
いつまでもひたすら回り続ける、という中東の踊りを、誰かがやっていた。
なんでそんなに回るんだろう。というぐらいに。色鮮やかな、衣を拡げながら。

音楽的には、ずっと前からのダブルベースのスタイルに立ちもどり、モードをどう紡げるかをやってみた。鍵盤はお休みし、ギター一本、ベース一本。打楽器も指のスナップだけ。

(…ちがった、シンセ弾いてました。)

フリーフォール、は、聴いてもらってのごとく。
底が抜けましたよね、っていうこと。
6月に入って、いろいろ。

どのように自由落下しますか。空から、あるいは宙へ。
利害のためにつくった虚構の街や催しなんて、とっくに。

これからも人を縛りつける企みは続くんだろうけど、
もっと大事なこと、あるし。

去年の Neptune と、根本的には同じこと。
あっちは徹底的に内面を見て、こちらは動物的にいきました。

パワーコードのトラックにアルペジオとリフを重ねたのだけど、サビのサイドギター、結構気に入ってます。
6/4拍子っていうのは、これも輪か。ノコギリと輪。

あとひとつ、常に思っているのは

蜘蛛の糸

あやとり、どこまでも。

トロイの輪と自由落下

6月は、2曲同時にリリースしました。626の11時。


trojan wheel


フリーフォール

両方、bandcamp にて公開・販売中です。

ジャズのワルツと6拍子のロック、マインドは同じところからきてます。

ほぼ月1〜2ペースで新曲や既存曲のリメイクを公開していますので、フォローしてみてください。

May Seventh

grace behind the word

2018年のミニアルバム river silver [side a] 収録曲
リメイクの一環として再録音しました。

曲と詞を書いたのは’04年、自分の中では常に現在系の曲です。

あまり現在系であってほしくない でもあります。だがこれは続くでしょう。

2021.5.7に。

peace.

ダイナみっき

何も考えずに作りました。

つづく


詞はこちら


なんのことか、今読み返してもさっぱりわからない。

ときどき、脳の健康の為に、そういうことをするのですが、
自分の意識の中とか外には、よくわからないものが溜まるというか、去来するものなので

それを瞬間的に言葉にしたり、書き留める(録音メモする)というのは
全然役に立たないと同時に、夢中になるきっかけだったりします。

実際は、文字をタイプしたり、トラックを重ねていく上で
客観視もするものなので、そこから何か意味づけをしたり、発見があったりします。

ただ、今回に関しては、ほとんど何もなかったな。

ストライプってなんだろ。規律?

何もないのに、夢中になって作りました。

床を踏んでキックの代わりにしたら、結構いい音になったし
壁を叩いたら、ボンゴみたいになったし
ほっぺたを叩いたら、チャカポコした感じ。
ハーモニーも、なんだか聴こえてる感じを録れたし。
コード楽器を足さずに、ベースと声だけで流れをつくる、っていう、
誰にも頼まれてない縛りも実行できた。

誰にも頼まれずに、自分も意味がわからないけど、やりたいことをやる。
子供の音楽です。

五月五日ということで、そろそろ開放したわけです。


なんちゃって。

実はこの曲、めちゃめちゃ気に入ってます。

ジャケットを誰かに作って貰いたいという野望が叶うのはいつの日か。

あめがきこえる

なかなかの雨が降ったので、午後11時11分
こちらを先にリリース。

昼間にマークキングの話をあれだけ書きながら、まったく共通点のない曲です。

4.4 雨の日に作った、というかできた、双子のひとつ。
その後なかなか雨が降らないので、梅雨までお預けにしようかとも思いましたが。

今回はスペシャルゲストとして、「傘をさしながら iPhone で録った雨音」を加えました。


さて、今後はある形態を実行してみます。

僕はやりたいことが沢山あるので、ときどき Bandcamp を使って、
コアな形ができればラフでも曲を発表していきます。

こういう曲は100円以下に設定しますが、
もし「面白い、発展させて欲しい」と思ったら、ぜひご支援をお願いします。

いただいた収入がラインを超えたら、もっと時間と手をかけたり、
それをギャラにして、他のミュージシャンにお願いしたりアートワークを作ってもらったり、グレードアップの原資にします。

グレードアップした曲は基本、差し替えます。
凄くクオリティが上がれば価格は少し上げますが、
それまでに購入された方には、新しいバージョンも差し上げます。

という仕組みです。

僕には素晴らしいミュージシャンやビジュアルアーティストの知人がいますし、
コラボもしたいのですが、スポンサーもマネージャーもいません。
どんぶり勘定していくよりは、こういう形をとってみたいと思います。

メイとキング

昨夜の覚え書きがまとまらなかったのがとてもくやしいが
そういうときもある。5月になった。

今年は、ふと思いついた人の曲…
これまで、意識にはあったが特に演ったりカバーしたことのない曲に
オリジナルのかたわら、さっさと取り組むことにしている。

Stones, S.Dan, H&O, P.Simon, E.Brickell, J.Cliff, MAW, M.Allison, J.Joplin…

使い途のわからないシンセの音をランダムに慣らしながら、今朝なぜか気になった、この曲。

「王」から King の繋がりだろうか。相変わらずいいかげんな自分の連想だ。

The Chant Has Begun / Level 42

時代を感じるがいいビデオだ (Apple Music にある)。
Gizmodrome 来日で初めて観れた Mark King。僕が昔ベースを始めたころは、メロディックだし速いしめちゃめちゃ凄いけど、音が軽いなと思っていたが、最近、わかりやすくていい歌詞書く人だと改めて尊敬している。太くていい声だし。
声が太いからベースは細くていいのか(?)、かつての Sting や Aimee Mann と逆か。

昔、Meshell Ndegeocello にインタビューした時 (’02)、彼女は今、Mark King や Yes が好きだと言っていた。こんな天才アーティストが、自分にあるものじゃなくて、自分と違うものを、好きといえるって最高だな、と。ていうかそうだよな。

Esperanza は King と Queen について(たしかいくつか)歌にしているし、
なんにせよ彼らトップアーティストは、それぞれの王位にいると思う。

Mark King は名前もそうだから。だが彼の “The Chant Has Begun” は逆をいってて、いいメッセージだ。少しだけ抜粋し訳してみる。

Old men with their protocol
Lead us off to war
Sometimes we don’t even know
What we’re fighting for
Marching to the beat of their drum

Leaders we no longer trust
Told too many lies
The promises they made to us
Were never realized
Hear me now the chant has begun

老人たちは彼らの協定に従って
僕らを戦争に導く
誰を相手に戦っているのかすら
時々わからなくなる
彼らのドラムに行進させられて

もう信用に値しないリーダーたちは
あまりに多くの嘘をついた
彼らの約束はひとつも
実現したことはない
きいてくれ 「うた」がはじまった

これは1984年の歌だ。あの “1984” の。場所はイギリス。

そして今は、”2021.5.1″ だ。ここは日本。

Are we on the blink?

Sunday, April 4th

Blinking News
Apple Music, iTunes, Spotify, Deezer, Tencent, Pandra その他
零時より、順次オンライン配信開始します。

こちらから

<Bandcamp 版について>
3.5の先行リリースから、ジャケットと音をわずかに変更したので、同時に Bandcamp 版 も更新します。
すでに購入くださった方は、新しいバージョンの音をアカウントから無料でダウンロードできますので、新旧共にどうぞ。

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