カテゴリー: muse

甲冑と袴

how fickle the perception can be

… Percy Jones の言葉。

「とらえかた」はきまぐれ。物事の。


硬質でありながら飄々とした彼のベースプレイに、石川五ヱ門を想起する。

撫肩な甲冑か、怒肩の袴か。

 


いつだったか、ベーマガに頼まれて彼のソロプロジェクトの解説をしたことがある。

アルバムになるとかではなく、その前のトラックだったか、ビデオだったか。
03年、Bass Player Magazine の記事の翻訳と、採譜だったと思う。

スライドハーモニクスに何やら矢印をつけた奏法に、随所に入る16分3連に

よくあんなのを採れたものだ、と思うが、改めて振り返ると発見がある。

集中してるとき、内面に入っているとき、外に出てるとき、忘れたとき、

パーセプションは姿を変える。だから面白い。

westwood-weyburn

二月。先日初日の出が昇ったばかりなのだが。
日はまだあまり長くなった気がしないのだが。

半年以上疎かになっていた鍵盤を少し思い出す。

視覚情報である楽譜という形にしていないことを先日から悔やみつつ
その一方で指の形や感触で思い出すことの大きさも感じる。

手と頭。両方大事なのだ。

人前でやるときは、その両方を忘れる = 意識しないレベルまでインターナライズするけど
ライヴしない今だから、逆に感じ取れることもある。


Leland Sklar のインタビューをしばしば読み観する。面白いこと話す人ですね。

とてもストレートでクレバー。仙人かと思ったら若いコンピューターエンジニアみたいだ。LA のガレージの。

’70s の Westwood の楽器屋では、誰もが集ってジャムしたり、あーだこーだ改造のアイデアを出し合ってたという。どんなんだったろうな。
楽器じゃないけど、2000年にふと Weyburn ave で手に入れたサングラスが好きなのはやっぱり、そういう場所の力なのかな。

…その眼鏡屋さんはまだ健在らしい
クリップオンはまだ壊れたままだ

going down like a lead balloon

Lou Reed の 1st solo。あぁこれこれ、やっぱジャケと同じくらい滲み出てる音楽。

2曲目 Going Down のピアノって、Nicky Hopkins だろうなと思ったら

Rick Wakeman だった。
ずっと聴いてるつもりだったけど、全然わかってなかったな。
ギターは Steve Howe だし。
録音は1971~72ってことは Yes の Fragile の直後。なんてこった。

John Lennon のレコードで歴史に残るドラムを叩いてるのは、Alan White だし、
プログレとロックンロールの関係って面白い。

“Lou Reed” アルバムに戻ると、これまた最高のドラムは
UK の名ドラマー、Clem Cattini。

Donovan の “Hurdy Gurdy Man” でも叩き、45曲もの UK No.1 ヒットに参加。
2010には Paul Weller のアルバムにも参加した、伝説の名人。

「ボーナムみたいに長髪の自分はありえない」から Led Zeppelin 加入の誘いを蹴ったとか
根っからのセッションマンっているんですね。


タイトルは同じく Led Zepp 命名のきっかけとなった Keith Moon の口癖をかけ。
lead balloon って鉛製の浮かない風船 =「大失敗」って意味らしいけど、なんか別の味わいも感じたりして。

1984、Nena の 99 Luftballons を英語に訳するときに意味の通らない “Red Balloons” としたのはもしかして、そういう流れをもじってたのかな?

はるまきはんぶんこ

朝は何かとクリエイティブな思いつきの時間だ。

はるまきはんぶんこ

というユニット名を考える。

なんのユニットや。


午前中も午後もくだらない駄洒落と食べ物のことばかり思いついていたのだが

(いつものことだ)

雨の日曜日は腰を据えて音楽をするに限る

っていうんでそれなりに探求した。

例によって、やりかけの五線譜を追ったり

それは古いクラシックギターの「現代奏法」本をどこからともなく見つけ出して
右手を最初からやったり

その中に Saltarén という曲があった。スペインの古い舞踏曲らしい。
まだ取りかかっていないのにおこがましいけど、この題が気になる。

ん? サルタレン? 猿田蓮?
イタリア語で「跳ねる」っていうのからきてるのか。
ストリングスのサルタートっていう奏法と同じかな。


あっちの言葉的につながりがあるのかはわからないけど
サルタというと Sultan、オスマン皇帝を思い浮かべてしまう。

先日しばらく書いたビザンチン帝国を滅ぼしたのは Ottoman Empire = オスマン帝国。
難攻不落の城壁都市、コンスタンティノープルを何度となく包囲し、遂に陥落させた後の略奪と残虐は、それはこの世の地獄だったらしい。
違う宗教同士の争いの深さを、思い知る。

西欧世界と東欧〜中東世界(それだけではないが)のどちらにとってもこれは難しく深い溝だと思う。がともかく彼らはその深い傷を負って、その後も連続的に世界は成り立っている。

トルコ行進曲、Zildjian や Istanbul のシンバル。音楽もだ。


サルタン、といえばもう一つ、すぐに連想するのは Dire Straits のあの曲である。

Sultans of Swing / 悲しきサルタン

何故か、世代問わず人気あるんよね。これは僕もアナログで持ってる。そういや彼もいっつも弾いてたなぁ。

なんともいえない歌詞が気になっていたが、曲の由来そのものは知らなかった。この Sultan も、そのまんまオスマン帝国のスルタン由来の「絶対君主」っていうニュアンスなんですね。

「スウィングの帝王」っていう名で場末のクラブに立つジャズメン。当時の UK の若者は「トランペットの入ったバンドなんて聴いてやいない」。それを題材にして歌うのは、名前からして売れないロックバンド。

そんなレコードがいきなりヒットするってんだから。
「苦境」というロックバンドはスターになったけど、クレオール・ジャズバンド “Sultans of Swing” は売れたのか?

今の日本ならどうだろう? MITCH さんとジョーの影響で、トランペットの入ったバンド、めっちゃ増えそうだけどな。

さすがやね、クラブ進駐軍。

f#dc#af#gf#

ほわっとしているようでそうではないような SSW を少し深堀する。

どうやら昔思っていたより遥かにパンクなようだ。まぁあの街だからな。

その人のレコードで弾いているベーシストにはおそらく少なからず影響を受けていて、
名も知らなかったがラインも音色も、いいセッションマンの見本みたいな人だった。
やはり。

NYC。いつでも行けると思っていたけど。

夜はいつになく早く眠る。

balm to heal

目覚めると雪。

ここでは滅多に降らないのだが、土にも少し積もっている。舗道はまだ。

階段で滑りそうやで気ぃつけや、
ほんまにすべっとぉ。

もう何年履いてるかわからないサンダルはツルツルだし
スニーカーもずいぶん履いてるからやはり滑ってしまう。

毎年オニツカタイガーを履き替える、いつか立てた目標は
タイガーショップが近くの街から出て行ったこともあり、もうずいぶんお預けだ。

ピンクの靴紐が、いつかのどんど焼きで火の粉を受けて焦げてしまい、
そのまま履いている。


nika, nica, nina ときて、つぎは necho か。

ねこといってもニャーではない。エジプトにネコ王というのがいた。

それで…いや、無理はしないでおこう。


昔やっていたゴスペルのアレンジを、Kanye West の近年のグループがほぼ記憶の通り演っているのを知る。
懐かしい…これって20Cから定着してるキーボードアレンジなんだろうか?
Clark Sisters のに基づいてるのだろうけど若干違う。

そこのベーシストの名にちなみ、今日は nicho さんということで。

pannonica

昨日の日記タイトルはビザンチン帝国の “Nika Riots” にかけたものであるが、
スタンダード “Nica’s Dream” の由来を知らなかったので調べてみた。簡単に見つかった。

50年代、NYC のジャズに大きく貢献した、ある女性富豪、通称ニカ。
ロスチャイルド一家に居た(そして一家を出た)この人は、
モンクやバド・パウエル、ホレス・シルヴァー、チャーリー・パーカー、
それに多くのジャズクラブに多大に出資し、
Bird や Monk を筆頭に、直接仕事の面倒を見たり、生活の場を提供したこともある。

差別やナチズムに真っ向から立ち向かい、愛するジャズに尽くした彼女は
ジャズメンにとってはまさに「恩人」だったのだろう、ちなんだ曲も多い。

BeBop というシーン自体が、ロスチャイルド由来の力に支えられていた

というのは少なからずショックでもあるが。え、誰でも知ってる事…?


以前、何の流れか、初期のさるカントリー・ブルースマンを追悼する YouTube を眺めていたら
彼の墓が映されていて、そこにフリーメーソンの印が刻まれていた。

だからなのか、と思ったことも。それも周知の事実?


ブルースの父、と呼ばれ、英語の教科書にも載ってる W.C. Handy

彼の最初のヒットとされている “The Memphis Blues” は

1909年のメンフィスの市長選挙のキャンペーンソングとして書かれたものだ、という。
対立候補もまた、黒人ミュージシャンの曲を採用していたようだ。


力と音楽の関係、持ちつ持たれつ。

それは力の正しい使い方なのか、受け取り方なのか
なんだか、大変だ。

五角形

今日は翌朝朝刊でなく、当日記述を試みる。

今日という今日は…

チャボが磔磔かどこかで MC で言ってた(のを誰かがカセットに録ったのが回ってきて聴いた)
記憶が少し蘇る。なぜだ。

コーヒーは今や貴重な楽しみ。
酒も外食もやめてしまったから、夜ふと思う楽しみは、明日朝飲むコーヒーだったりする。

酒をやめて良かったことも多く、たとえば味覚が敏感になった。
人の舌には味蕾という味覚の受容器がたくさん…子どもならば1万個もあるらしい。

これがどんどん減ってくるのだ。体力や知力、聴力、外見、その他すべて衰えてくるのと同じく。
だがそれは仕方あるまい。

酒や刺激物が多いとその現象は早いとかで、まぁ理屈はともかく、以前よりはものの微細な味がわかる。
なので日々の食事も美味しい。

贅沢をしなくても、美味しく食べられるというのは、すっごく嬉しいことなんだぞぉ。

コーヒーについては、以前は深煎り、フレンチとかイタリアンローストが好きだったけれど
昨年ごろからは浅めが好みになっている。ミディアムとかシティっていうやつか?

豆はグァテマラ頼りだったが、今はコスタリカのマタンブーやタイのサイアムなどが好きだ。

といっても、コーヒーの味のグラフ(五角形のやつ)の見方が、未だにわからない。
酸味やコクなど、パラメーターで見ても定まらない。
どうも僕には一貫性がないようだ。

でも、こんな夜更けにコーヒーの事を思い返すのもなんだか。


久しぶりにピチカートで練習を再開した、ところだが、調子にのるといけない。
ベースは一人で弾いてるとつい弾きすぎる。十分手首もできていないし、これからは楽器に触れる時間も限られる。

弾きすぎないよう戒めも兼ねて、2ビートや弾き語りをやってるんだ、って、まぁそれもそうだ。

多重録音して歌ってればトータルな意味でベースが一番耳に入るし、それは世の中の歌い手もそうだろう、と想像がついていた。
MTR をいじっていた初期のころから。
実際僕が知り合った人はたいがいそうだった。とても役に立った。

それはいいのだけど、自分の思うベースと歌のバランスって案外、人とは違ってもいた。
微妙な違い。世の中にはベースが好きなミュージシャンが多すぎる。
ベーシストになってあんまり好かれるのは苦手だし、好かれるように立ち回るのはもっと苦手だ。
だから、自分のベースをやるために、曲を作って、詞を作ってる。客観視という主観視。

単純にベースだけが好きなときも、もちろんある。
そういうときが、困るのだ。身体に備わった、余計なスピードが。

今日はさっさとやめて、トランスクライブに切り替える。
これはこれで、とても発見があって好きだ。


都会は雪だそうだ。こちらは雨。

NHK の報道や番組作りに言いたいことはいっぱいあるが、カムカムエブリバディでジャズがテーマになっていること、
小林創さんが大活躍していることは、とても嬉しい。ミッチさんも吹いてるのかな?

外の人と会うことはまだ、当分ない。数ヶ月? 数年?

こちらは一人で、できることやってます。
ほんの僅かな歩みだが、Parchman Firm の歌い手を思えば、
なんだって、できる。

delayed action

正月も驚くほどの速度ですぎつつある。

今年は色々と楽しみを…減らした。
が、それでいい。

何かに夢中になって、気がつけば12月になるだろう。


ずっと好きなスタンダードの “Conception”、結構録音が少ない。
よく聴ける Miles や Bill Evans のレコードは録音の時点でブリッジがアレンジされていて、
さらにそれを基にした Miles の Take Off という曲もあり(これがまたいい)、
本当のヘッドが何なのか、原作者 George Shearing の意図ってなんだろ、と思ってしまう。
– Bud Powell と Shearing のどちらが本当の作者か、という話もあるらしい。

僕はいっとき、”Take Off” を散々レコードで聴いていて、そちらに馴染みがあるせいで
どうも Miles のこの曲のアレンジに馴染めない。勝手なリスナーの都合だ。

Rosenwinkel や Patitucci のテイクは原曲寄りか。

が。Realbook と耳を頼りに、たどる。
なにか、スローで、やりたいな。


暮から痛んでいた指先が癒えたので、ピチカートを再開す。

フライングパン

餅を焼くのにみんなはどうしているのだろうか?

うちでは
魚焼き〜匂いがつく
ガスコンロに網乗せ〜真ん中しか焼けない
電子レンジ〜使ってない
オーブン〜貴重な道具を餅の事故には遭わせられない

というので、暫定的に「フライパン」にしたのだが
これが圧倒的に簡単で、いい具合に柔らかくなるのでビビっている。

なんだったのだ他の方法は。


地道に初歩練習、音域の解読、音源のアーティキュレーションの解読
今の今まで、使ったことのない機能。10年以上前から知ってたのに。
触るとめっちゃ簡単だったが、キースイッチよりもパッチチェンジの方が役立つ時って、
どすればいいんだろうか? 今の音源にパッチチェンジってそもそもあるの?

昔の練習用データを掘り起こし、バックアップの整理。
NAS の容量も足りないので、要らない録音ファイルもがんがん消していく。

昔は、難しいエチュードやトランスクライブを弾くときに、まず DAW で「写譜」して
それから楽器で練習することもあったのだが、それって DAW にはまると
データ作りに時間を割いてしまって、肝心の楽器に触る時間がなくなったりする。
それで阿呆らしくなって、放棄したデータも山ほどあるが、うまく使えばやはり役立つ。
詰めすぎないこと。生を主に、テクノロジーは従に、というのがここ数年の基本姿勢。

今年は少し段階を進めて、テクノロジーも見直す。

データと楽器と、身体的には真逆だが、両方ないと、です。
ただ、データは消せるけど身体は消せない。
一方、身体が消えてもデータは残ってくれる。残ってしまう、かもしれない。

過去の常識の通用しない「人生」。これからどう過ごすにも、答えはないのです。
「モノ」を残す気のない自分。
子供の頃はものづくりにも憧れた、と薄く思う。


Flying Pan とは初期のエレキギターの愛称。リッケンバッカーが作ったラップスティールだ。

もうこれ以上楽器はいらない、役目を終えれば減らすだけだろうと思う自分が、
昔のリッケンには憧れる。
チューリップ型のグリーンのギターや、フライングパン。かわいいもんな。


今年の目標は一つ。

早寝
早起き

これ基本っしょ。

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