アーカイブ: 2020年6月

planetarian 2

こちら の続き。

少し昔話を書いてみる。

僕が彼、Vardan Ovsepian に出会ったのは Boston の学生時代。確かイギリス人の sax 奏者に (Martin…?)、放課後にジャムをしようと呼ばれ、4人集まったのだと思う。そのうちの一人、アップライトピアノを操る彼には、異様なものを感じた(もちろんいい意味だ)。
とにかくうまい。上手い学生はいくらでもいる学校だが、全然他と違う巧さだ。野性的なのにうるささが全くないし、ものすごく知的だし、聴いたこともないような、懐かしいような音階とリズムを叩き出してくる。トンチが効いているとでも言うのだろうか。面白い小説を読んでいるようなピアノだ。
しかも、僕自身の技術は棚に上げるが、何かとても波長が会う。気持ちいい。

その4人では、確か学内のスタジオで2曲ほど録音した。当時はまだアナログテープだ。録音開始時の “(tape’s) rolling” の合図がヘッドフォンの中に残っている。と耳が言っている。

しばらく経って、彼が面白いドラマーと仲良くなったからと、セルビア人の Rastko を呼んできた。何回か一緒にやった。不思議なドラマーだった。まるで昔話の日本人かのような、墨絵のようなドラムを叩く。とても静かな、爆発するような。

僕はアジアや中東、東欧について、何も知らなかった。
未だに殆ど知らない、というレベルだが、僕の世界の認識に、ルートがすっぽり欠けていた。

文字にしても弦楽器や打楽器にしても、Middle East と呼ばれる地域で生まれたものが東西に広がり、別々の進化を遂げた、というのは中学校でも学ぶ。だが、邦楽と英米の「洋楽」ばかり聴いたり、そっち経由で勉強していると、その間にある繋がりを忘れてしまう。
果てしない差があるな、と、諦める。そんな感じだ。

太平洋は広いな。
それが、アメリカに行くまでの認識だった。
行った後は、語弊もあるだろうが、音楽もデザインも5年は欧米の後追いをしているな、と思った。
途中帰国する度にその思いは増幅した。

でもそれだけじゃないな、とも次第に思えてきた。右回りも左回りもあるだろう。
また、座標をどこに置くかで、思っていたことや時間軸が崩れたりもする。

わざわざ、太平洋と大西洋っという広い海を二つ超えてから、その向こうの西欧までを感じるのか、
アジアからシルクロード経由で東欧までを感じるのか。
まぁどちらにしても、遠いなと思うのだが。
シルクロード…歩ける気は、しないしな。

やや脱線したが、Rastko や Vardan(アルメニア出身)の感性は、とても近くて大事な何かを触発してくれた、ような、大層だがそんな気がした。

彼らとは後日、さるパーティーで演奏しよう、と計画をしたのだが、これがひどい失敗だった。
何をやろうか、というところで、あっけなくボツる。つまらない、と。

とはいえ、それで引き下がる僕でもない。

学内の主宰ステージでトリオを組むことにした。
変拍子と音階の自由さを引き出すために、
思いついて書き留めたり、昔 Roland の System-100M っていうアナログシンセサイザーをいじって MTR に録ったことのあるモチーフを提示し、あとは自由に演奏してもらった。
二人は大喜びしてくれた。半ば予想通りではあったが。

僕も含めて3人とも飽きっぽいので、緊張感はあるが構成がダラダラすることはない。
ビジョンはあるが様式美にはならぬ。感覚ではじまり、終わる。

これは我ながら、素晴らしい時間だった。
当日来てくれた人たち、教師、その他、全然ジャンルや好みの異なる人からも、とてもいいフィードバックをもらった。

学生ながら僕にとっては、自分が思う何か、「音楽」そして「Performer」になれた、大きな瞬間だった。

勿論、彼らの力も大きい。人と共に何かを作り出せる快感。貴重な記憶だ。

続く

あめがおおきくゆらいだサイン

6.21 新月リリース

しばらく stillbeat 名義で配信する予定。

この曲は詩集 flat five に掲載し、付属音源でしばらく配布していたので
聴いたことある方もおられるかと思います。知り合いにも割とよく聴かせたし。

ミニアルバム river silver で配信していた「ホタル」という曲の姉妹曲です。

もともとユルユルなのですが、これでもいくつかグレードアップしているので
前の音源を持っている方もぜひ聴いてください。

この曲もドラム叩いていて、マイク一本で録ったものです。


– 追記: 6.25 –

このジャケットは
ちょっと気に入っていて
何かわかります?

指も写ってあるのがヒントで
つまめる物体 だから一筆描きではないです。

まぁでも一筆ガキともいえますか

昔 ワタリウム美術館の on Sundays で見つけて
一目惚れした絵本があって
ずっと繋がった線で世界を一周、みたいな
Laura Ljungkvist だったかな

それを目指したわけではなく

そもそも僕は絵が得意ではないけれど

ごくたまに変な絵のようなものをノートに描くことがあり
今回は何も描けそうもないので昔のノートを漁って
何かスキャンできそうなものはないかとページを捲ってたら
何もなく さらに書いてる言葉もロクなものがなく
次々とページを破り ノートを破棄することに

そうするとどうなるかというと
残るは ページを留めてあるリング

僕は無印良品のダブルリングノートが好きで
そればかり十何年も使っていたので
(もうノートに書く習慣がなくなり、今は使っていない)
棚の奥には黒やベージュのリングノートばかり並んでいる

ひとまず一冊を解体し

針金のビヨンビヨンを燃えないゴミとして捨てる前に
記念撮影でもしようと床から拾うと
意外と面白い形になっている

これを角度を変えて撮ってみる

なかなかいいじゃないか

上のビヨーンとしたフックは月にも手錠にも見えるのだけど
ここは敢えて 犬の耳にも見える形を採用
なんだかソリで走っている鬼っ子とファルコンのようだ
下のクシャクシャは雨雲にも見えなくもない

ここでいつも困るのは
壁を背景に写真を撮ろうにも ロクな台がないのだ
結局指が一番便利な台だということ

うちの壁は白いのだが敢えてくすんだ水色にしてみた
近頃はこの色が好きなのです
とても

スバルにこんな色の車なかったっけ

あ 曲の方もよろしくお願いしますね


2020 連続シングル “moon x moon”

Go Deep & The Cover / Mana Nagao


Mana Nagao / Go Deep / The Cover
2020.6.10 release

長尾真奈さんとの出会いは2011年に遡る。
ある午後、数年ぶりかにドラマー田中慶一から連絡をもらった。
シンガーソングライターのライヴというお誘いだった。
慶一とは、Mika Arisaka バンド、とらジャム、ハミングキッチン、そして 01 [ゼロワン] 以来のリズムセクションであるし、当時は最強だと自負していた(僕のごく周囲の話だ)。彼が Urb やアフロックスで活躍してから疎遠になってしまったが、久しぶりに一緒に音を出せるのならと即応した。

真奈さん、慶一、そしてギターの田島拓くんと出会ったのは下北のスタジオだったか。
その前に送ってもらっていた曲たちがあまりにもユニークで、歌が透き通っていて、どうなるかとても楽しみにしていた。ピアノとギターとドラムと、フレットレスベース。

ベルベットサンで行ったライヴは、彼女を以前から知るだろうファンにも溢れ、スリルと新鮮さと落ち着きがまじった素晴らしいものだった。慶一はハコの古い Yamaha のキットを叩き、拓ちゃんはファズが強力に響いてたっけ。真奈ちゃんはピアノ弾き語りなので舞台の下手にいてあまり客席から見えず、僕は真ん中で座って、これでいいのかと若干居心地が悪かった(ピアノの人とやるといつも、ベーシストの立ち位置、座り位置では悩むものなのです)。終わった後のお客さんの一人のセリフ「まなちゃん、デビューしなよ」が、記憶に残っている。


それから彼女の自主制作アルバムに呼んでもらった。僕は宅録でのベース録音とデータ送付 – 今でいうリモート – だったが、彼女は西へ東へ、毎週旅してアルバムを作り続けたらしい。”First Light” は関西チームの録音も含めて、全編、純粋な曲と躍動感に満ちている。これもいずれ配信されないかなぁ。

翌2012年にはリリパも含めて数回ライヴできたが、2013年からしばらく間が空いてしまう。その間、別の現場でも仕事をしていたバンドの二人とも、やがて疎遠になってしまった。こちらがお願いしていた現場がなかなか動かなかったことも一因ではあるが、他にもっと機会をつくれなかったのか、悔いが残る。慶一はやがて、旅立った。


いつか都内で活動を再開した彼女に、ギグで久々にご一緒できたのは…2017年か。カバーとオリジナルを交えて大磯プリンスホテルのロビーでやった2度の演奏は、デュオもトリオも(オープンスペースのフリーライヴ企画だったが)、いい音楽を聴いてもらえたな、と思っている。

その際に今のレーベル Reborn Wood の方々にお会いし、いつか録音でも、という話をいただいていた。
トリオでドラムをお願いしたのが、神谷洵平くんだ。

そしてオリジナルアルバムを2018年末に録音し、カバーアルバムを2019年末に録音した。
カバーアルバムの方は、選曲や、アレンジの方向性など、ディレクションにも参加させていただいた。

そして今年春リリース。より確かになったオリジナルと、原曲が生まれ変わったようなアコースティックでのカバー。

長いような短いような、コロナ禍もあって僕はライヴにも協力できず、歯痒さもあるのだが、彼女の素晴らしい歌と音楽が、世界中に広がることを、願っているのです。

2019年、オリジナルアルバム完成後のトリオライヴ、7th floor にて。

Carnelian

Turtle Neck

rivet


rivet / stillbeat

区切りがついたので、再び stillbeat としてリリース。

moon x moon #11
June 6th “strawberry moon”

ジャケ写はイチゴと月たちを。
タイトルは光で書きました。







今回は前作と同軸の真逆に。
これもルーツの一つ
ファンク x ポエトリーです。

トラックは1999米録音
サックスは Jaleel に
家に来てもらってクローゼットで
SM58で録ったもの

ドラムは Ramsey
ローズは Manuel
リリック は最近書きました。

言いたいことは色々あるけど
よくもまぁ次から次へと
って感じだよ。


リズム録りをした当時のスタジオ写真とか、ないんですよね。

その頃はまだデジカメすら普及してなくて

京都で買った Canon のオートボーイでたまに写真撮って
Star Market で現像するぐらい。フィルムも貴重だった。

この曲で弾いたのは、当時メインにしていた
Factor bass.

この家に7人で住んでた。家ネコのミッシーが忘れられない。

この反対側には、sax を吹いてもらったクローゼットがある。

近くのコーヒーハウスに行ったり、仕事に行ったり、地下鉄の駅でデュオで流しをやったり。

neptune や neverseen や、a tto iu ma ni の原型を打ち込んだのもここだった。


Ramsey の写真…これしかない。毎日つるんでたのにな。

Manuel はエクアドルで、活躍しているようだ。
この TED が相当面白い。

僕はスペイン語能力が皆無に近いので、自動字幕や翻訳サイトを頼りに繰り返し観ても半分ほど理解するのがやっとだけれども、
登場してからピアノに座るまでのパフォーマンスも含め、見た物、聞いたこと、感じたものを音に落とし込む彼の振れ幅に
YouTube が過剰反応(誤動作)しているのだろう、後半の演奏シーンでは、歌もセリフもないのに音に対して変な字幕が表示されています。
なんというか、希望を感じます。マシンに一方的にやられずに、生きていく希望を。

Jaleel は最早 the greatest cat の一人。
最近も音楽はもちろん、Covid について、今のアメリカについて、重要なこといっぱい発信しています。


再びジャケットについて。

ストロベリームーン、というのは当日まで知らず、この写真がイチゴにも見えるというのは偶然の産物。

なんとなくやったことに後から理由を付けられる、というのは僕の得意技。
だが、あれこれ迷わずにやればいいものの、逡巡してやらずに後悔したことは、数えきれない。
我ながら変な人生だと思うが、これも一つの生命の形だよ。案外みんな、そうかもしれないし。

これは iPhone で撮った、寝る前のあかりの写真。
ミラーレスでも撮ってみたが、そっちはあかんかった。

リベットという物体の単体はイマイチ写真映えがしない、と思ってたらなんとなくこれが赤く光ってたので撮った。もともとは白木だが、隣の Ric のバーガンディグローが映ったのだろうか。

板を曲げ、リベットで止めてある物体なので、意味は通ってる筈だ。


さて…この moon x moon シリーズ、これまでを問わず
僕は絵画が苦手なので、自分で撮った写真をいじってジャケットにしている。
一作、「わらい x きみ」では隆太くんに参加してもらえたが、だいたいにおいて僕は制作がギリギリで、ひどい時はリリース当日にまだ曲を録り直している。これでは人にイメージを伝えるのも難しい。

そんな一人出版社に、人を巻き込むのはよほど悪魔社長だし、
あまりそうはなりたくないので、今後も当分自前で行かなきゃ、と覚悟している。

このあたりは、今後もし、仕事的な動きになれば考えていく。
が、基本的に僕は自分のやりたいこと、探求したいことをやって、そこから先に進もうと思っているのです。

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