10 (TEN) ツアー再開。10本目は熊本公演。
先週壊れてしまったキャリーカートを修理し、
なんとしても寝坊せぬと気合を入れて眠る。
朝。気分を変えてモノレール。「整備場」を二つ乗り越し、機上の人。
ゲートセキュリティが厳しくなってるのか、直前に買ったコーヒーに目をつける検査員。
「ひとくち、のんでいただけますか?」
いいですよ。というかこれイイやり方だと思うけど、
ほんとにアブない人なら、飲んだふりすると思うから…
…しっかり見ておくれよ
翔び、風に乗り、西に向かい、
脚が陸についたら、走り出す。
熊本には、何年も前からずっと行きたかった、やっと行ける。
短い滞在だけど…
「野田目」って、ほんとに福岡にある地名なんだ、とか
熊本県に入ってすぐの「和水」って、「なごみ」なんだ、とか
場所の名、それだけで感じること、しきり。
以下、大幅に話は逸れますが
位置情報ONにして地図をみると走行の様子がわかる。
これって…GPS情報的には、車の走行速度もサーバーに筒抜けってことだよな。
スマホ持ってなくても、今の車ならカーナビにこんな機能付いてるだろうし
「警察による各人のGPS情報調査が可能になる(なった?)」っていうのは
理屈的には、警察がGPSデータベースにアクセスできれば
自動でバンバン速度取り締まりなんかも可能ってことだよねぇ。
なんなら、遠隔操作で課金したり、停止させたりもできるんじゃないの?
さじ加減次第で。
さらに、そのうち「◯◯km/時上乗せで走りたいから、いくらチャージする。はい/いいえ」みたいなオプションが付くんじゃないの? あのへんの業者が、そんなビジネス始めるんじゃないの?
CO2排出権ビジネスよろしく、Car速度権ビジネス。
しれっと、それが当たり前の社会になっちゃうんじゃないの?
ほんとに大事なこと、置いといてさ…
…
ぼくの想像力はどうもディストピアばかり幻視してしまってて、
同時に、それをなんとかひっくり返そうとしてる、この頃。
音楽も、競争ととらえる人が、そういう機会が、この世にとても多いなぁと思う。
僕も時折そんな風に捉えて、はぁと嫌になる。
でも、競うことをずっと避けてもいられない。
先日、ベストセラーなのに何故か入手不可の本を探しまくって本屋をハシゴし、
代わりに買った宮下奈都の平積み本。全く違う本だけど、この一節すばらしい。
音楽は、人生を楽しむためのものだ。はっきりと思った。決して誰かと競うようなものじゃない。競ったとしても、勝負はあらかじめ決まっている。楽しんだものの勝ちだ。
– 羊と鋼の森 –
車は走る。そして着く。熊本城の石垣が見える場所、赤紙の貼られた建物も近くにある場所、
そして、そこから入ったライヴハウスB.9。
ライヴハウス。
ホールもいいけど、これミュージシャンの原点。
ツアー直前に観た、LEO今井バンドのライヴを思い返す。
リハが終わって、flexlife に会う。
昨年師走の代官山、Weekend Garage Tokyo 以来。
そういえばあそこにも、小型のキャンピングトレーラーがあったっけ。
りえんぬ、けんさん、かんちゃん。
かんちゃんはマイケルの”Smooth Criminal”ダンスがお気に入りで、
よく「斜めになってエアーのハットを押さえる」らしい。
商店街を歩き、いろいろ話す。
4人でオムライスを2皿シェアすることになる。
本番は説明しにくいモードなのだけど
そこに立ってるだけで、嬉しかった。
この場にいれて、何かが、音楽させてくれた、です。
演者は観てくれる人たちがいるから演者であって
そこで自分の中で表したかったことがようやく出てきたり、するのだろう。
改めてもっといい音楽家になりたい、と願う。
通常とは違う感覚、今も知らないことだらけ。
この場を体験できたことは幸せだった。
荒井由美のあの声を、少しだけおもう。
滞在予定のホテルが使えなくなってしまっていて、福岡の宿に移動。
また来ます、ゆっくり来たいです。
みなさんどうかお元気で。
ほんとにありがとう。
—
翌朝。
ねぼけた頭を身体にのっけて、走り出す。
平和台…これは、昔「平和台球場」があったところなのか?
とてつもなく広い、楕円形の大濠公園。濠というより小さい湖だ。
動物の多さに目が行く。
鯉の大群、亀の大群、トンビ、そして…
かわいすぎる、雛鳥。
人は、ここで思い思いに時を過ごしているのでしょう。
人工だけれど自然の力が上回っているような、静と動の空間。
昨年福岡にきたときは、街行く人の熱量に正直圧倒されたのだが
別の面を見たような、こっちの勝手な思い込みが剥がれたような、そんな昼。
次の朝は、なんとなしに街を歩く。初夏並みの風が心地よい。
三角州のあたり、橋の上のベンチから見渡す。どこか京都のよう。
「貴賓館」を素通りしたあと、どうもひっかかって後ずさり、入ることにする。
撮影禁止、入館料240円。他に来館者はいない。
解説をお願いすると、館長らしきおじさんが気さくに、ゆっくりといろいろ話してくれた。
- 博多は埋め立てが多く、ここが建った当時は目の前が海だったこと
- 贅を尽くした建物だが、戦中戦後、何度も持ち主/目的が変わったこと…ビリヤード場、軍司令部、裁判所…
- 当時のガラスは、波打っていたこと(そこからの眺め、味があってよかった)
- 縦開きの窓は、軽く動かせるように左右に分銅がしこんであること
- 各部屋の天井四隅に、まるで換気扇があるかのような吸排気孔があり、その模様がいかしていること
- 暖炉は当時開通したばかりの瓦斯を使ったストーブだったこと
- 戦時中、金属の部材は軍に接収されたこと
- それでも一部、金属製叩き出し(!)の天井があること
- 11年前の局部直下地震で、ここも被害にあったこと
- つまり、そこにも(人々の知らない)断層があったこと
- その時(彼曰く)初めて、津波の可能性についての報道があったこと
- 復旧に数年を要したこと
- …
「れんが館」もおすすめとのことだったが、入りに間に合わないので諦める。
途中、オクトーバーフェスならぬ「A級グルメフェス」? を通過する。
長崎は青島の、美味しそうな蒲鉾を買って帰る。
昨秋演奏した市役所前広場に立つ。人がいるといないので、場所の広さも全然違って見えるのが不思議だ。
…人がいる方が、広く見えるやん…
福岡市民会館。ここは大好きなホールだ。音がまろやか、かつクリアなのだ。
それにこの模様もいい。表しているのは無邪気に遊ぶ人か、音の波なのか。
本番。
特別な時間。
最高。
「押忍」が「おはようございます」の略というのは、思いつきだけど本当らしい。
ドリフのあの番組ではいつも「おはようございます!」「おはようございます!」「静かにしろ〜!」というやりとりがなされていたわけだ。毎週土曜の、夜8時に。
九州北部、ありがとうございました。
多謝。これに尽きます。