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ラスコー

umi no machi – セルフライナーノーツ #7


ラスコー – 1999 and November 2024

アルタミラやラスコーの洞窟で動物を描き、ドナウ川の河岸で五角形の家を遺した先人たち。

彼らの見た世界には、もしかしたらこんな旋律があったかもしれません。
根拠はないけれども。

この曲の原型は四半世紀ほど前につくったもので、最初のアルバム “Voice of Marble / rtov” の続編のひとつでした。

そのアルバムでのメンバー、ドラマーの Rastko、ピアニストの Vardan から強いインスピレーションを得ていて、一度ロンドンに Rastko を訪ねたとき、このモチーフでパーカッションを録音してもらったのですが、そのファイルは今どこかの HDD に眠っていて、昔の OS を組み直さないと開けない。

そこでまずは、DIY で再構成、発展させたというのがこのトラックです。Rastko との Lascaux は、改めて作るつもり。

ピアノのかわりにグロッケンを、中欧〜中東のパーカッションのかわりにシンバルを、そしてアコースティックベースとギターで対モチーフを入れました。

形容し難いかもしれないけど、ユーラシアであり、日本であり、とても僕らしい音楽だと思っています。

グリーンはいつ

umi no machi – セルフライナーノーツ #2


グリーンはいつ – 1991 and November 2024

七拍子の空想歌。絵描きや物書きに憧れたころを思い出しながら。

緑がうみを囲む、夜が木漏れ日を手渡す

あまり考えず、浮かんだ言葉とメロディを録音して作っていきました。

グリーンは昔から好きなウェールズ出身の SSW であり、

かつて滞在した家のことでもあるんです。

「うみ」が近く、窓からは河原の木々がとても素敵だったグリーンの家。

だけど数十年ぶりに訪れると水辺は消え、辺りは道路で固まっていた。

人が「道をひらく」事とアスファルトは、現代社会でセットになっている。

でも、そうやって蓋した土はいつまでも黙っているだろうか?

街と緑って本当に共存できるのか?

それとも自然はもっとずっと、したたかなのだろうか。

うみのまち

umi no machi – セルフライナーノーツ #1

アルバム収録の全九曲について、不定期に綴っていきます。


うみのまち – December 2023 to November 2024

Apple Music

しずかにはじまり、しずかにつづいていく。うみと私たちのように。

昨年の暮れ、身近なまちとうみ(湖、海)を思って曲を書き始めました。最初の行ができて年を越 し、海岸で日の出の写真を撮って年始の挨拶にしようと思っていた午後、北の海岸であの地震がありました。心がフリーズしたように、どうすればよいか、わからなかった。

3月になり、ようやく形にした “sea and lake” というインストゥルメンタル曲を Bandcamp でリリースしました。微力ながら、能登半島地震への義援作として。

僕は石川県の現状をこの目で見れてはいません。震災に豪雨。知人とやりとりしエンパシーを飛ばしても、現地の方々が実際に体験されていることには到底及ばないでしょう。

場所は違えど水辺で生きる自分が、常に想像せざるを得ないこと。自分を通過しふるわせたもの – 僕にできたのは、これらを言葉と音にすることだけでした。曲は6月にでき、11月に音を仕上げました。

自然と共に歩む人々に。つくっていくもの。失うもの。それでも。

Spotify

サウンドは、南米音楽の影響と日本の「間」を、少ない音で表しています。

* この曲の配信販売収益の七割を、能登半島地震の災害義援金として寄付します。
* インストゥルメンタル曲 “sea and lake” は、Bandcamp 販売からの全額寄付を継続します。
ご賛同いただける方は、よろしくお願いいたします。

sea and lake at Bandcamp

ミラをのぞむ

曲の題

タイトル。名前。
これって重要です。

クリエイティブで、
独創的にも普遍的にもなれるとこ。

「さくら」っていう曲がこの世にどれだけあるか計り知れないし
“quiet storm” っていう曲も結構あったりする(しかもジャンル名ともされている)

でもそれぞれ違う。

僕はごくごく普通の題をよくつけるけど(あかりをつけたら、とか)
変な造語もよくつけます。

「サイドミラ」もそのひとつ。
アルファベット綴りがいろいろありえるので、
便宜上、”side mira” としてあるけど
mirra でも mila でもよくて、さらに前の方も違うかも、と思うことがある。

日本で僕らが使い、認知している言葉と音と事象
これらは海外だと全く違う意味だったりする

音楽やってる身としては、把握できる言語が限られていても
アンテナにひっかかった部分はやはり気になるし、
聞き違いはあかんやろ、いや、それが大事やろ、
あるいはそれこそが世界には必要じゃないのか?!
空耳から違う価値観の扉を開くってことが!
ぐらいに、誇大妄想してしまうところ
(厚かましい…日本語詞もまだまだなのに)

ようするに自分自身もよくわかってない、ことばと音を
あとから再発見してるわけです。いつも


「サイドミラ」は、もちろん車のサイドミラーから来てるけど
それだけじゃなくて、「ー」を切ることで屈折し、変化する。

水から跳ねたウオのように。

跳ねた瞬間にトンボ (dragonfly) に捕まるかもしれないし、
着水地点を間違えるかもしれない。上がった時は昼だったのに着水したら夜だったり。

「ミラ」を、複数の綴り含めて調べると色々なものごとを指している。
カナダで AI を研究してる機関 Mila
ロシアで「可愛い」という言葉 Милая
アナトリア半島にある宿泊地 – 日本の「お手玉」の起源はアナトリア半島という説がある – 偶然
スペイン語だと「ほら見ろ」 Mira
日本だとダイハツの軽自動車がミラ
宇宙だと鯨座の変光星の名前がミラ。
ガンダムだとスペースコロニー「サイド」をミラーに、という愚か極まる兵器もあったっけ。この場合は side であり、cide(書くも悍ましい意味)とも言えてしまう。

今読んでいる山崎佳代子さんの本によると、セルビア語 の mira は「平和の」。
2,000年の間に115回もの戦争に巻き込まれた国。ベオグラードはこれまで44回も破壊された街。
気が遠くなる。

そのうちの一つ、大トルコ戦争末に周囲の大国たちが円卓会議 (round table) につき、1699年に講和条約を結んだスレムスキー・カルロウツィ(カルロヴィッツ)
そこには kapela mira(平和の聖堂)があるという。

コメット II

「紫金山・アトラス彗星」の観察撮影日記
その弍、そして最終回。

今度は別の海岸。普段はたまにサーファーが来るぐらい、この夜は誰もいない。

正直、波がこわいので、おすすめしません。
万一のときはすぐにダッシュで車に走って逃げるように!

と言いきかせながら、西の空を見る。
でもメガネをかけてもわからない。
太陽や金星からは離れたけど、彗星自体の輝度も下がっているようで。

カメラを向けると、いくつか撮れました。

思いのほか、飛行機や人工衛星(?)みたいな浮遊体が多く、
そしてまた、道路の灯りも、けっこう眩しい。
海辺の砂が舞ってるっていうのも、あるかもしれないですね。

今なら Photoshop の AI 処理でなんとでもなっちゃうんだろうけど…

それって、何回かつぶやくけど、

意味ないよね。

意味ないやん。

意味あらへんし。

まぁ、明度合成やスターフィルターみたいな技は、ありだと思うのだけど
手を加えるほどに、みんなの人生は、うばわれていくし…みたいに、感じる次第です。

音楽もそうですよね

まぁいいや。そんなことより。
まだまだ写真初心者の、記録撮影です。

これも、彗星近くの「赤い光」は、浮遊体。この後左上に動いていきました。
左下は金星。真ん中の水平線は夕陽の名残です。

コメット I

comet の語源ってなんだろう?

come + met
来て、会った っていう意味だったら
わかりやすくていいな。

今回の彗星、二回に分けて観察試みました。

といっても彗星を見たのは初めてなのだけど
位置も天候も絶好のチャンスだった10.14「スポーツの日」は
終日録音にこもって、すっかりスルーしており

翌日にいろんな人がすごい写真を掲載してるので
やっば…と思って、日没後に海岸にでかけました。

薄曇りで空が霞んでいて、あまりいい条件じゃなかったと思うけど
堤防の上には人も10人ぐらい集まっていて
見えますか、みたいな、いい場所でした。

スターガイドアプリを見ながら、どの方向かな、と探って
最初に撮れたのがこれ。

メガネかけても見えなくて、撮った後に画面を見ると右上にいました。
感動。構図としてはぜんぜん良くないですけどね。

その後、灯台と一緒に写したり、あとから調整をしてみたのだけど
(追って載せます)

むずかしい…

それで、さよなら、と思ってたら

10.21 にもうワンチャンあるとわかり、つづく…

うみとやまへのたび 陸

9.ε2

兵庫県の北部、但馬エリアで、演劇祭をやっている。
舞台芸術のメッカになりつつあるという豊岡には以前からすごく興味があり、この機に少しでも足を踏み入れたいと思っていたのだが、時間も資金もあまり残っていない。

土地柄なのか、パワーを感じる。

城崎か、豊岡か。どっちか迷って城崎国際アートセンターに行くと、催しは数日前に終了したという。素晴らしいサイトでうま〜く情報発信されてるんだけど、頭が次元滑走してる僕には、そのへん読み取れなかったんだな。

列車内での演劇「うみやまむすび夢十夜」にも間に合わず。これ観たかったなぁ

結局、どっからどうみても温泉街、これぞ日本の観光地の鑑、という街並みを少し歩き、酉の刻の芝居を観て帰ることにする。


そう決めた瞬間、一斉に飯屋が閉まった。

残った海外風カフェはお洒落で居心地良かったものの…。

一人芝居「城の先にて」を観る。すっと入ってくる声と演技と、幻燈のシンクロが面白い。子供の頃に読んだけど、ごめんなさい、すっかり忘れていた。

先日読んだディネセン「アフリカの日々」に、イグアナを撃ち激しく後悔する譚があるのだが、少しばかり類似を感じたり。

さて、兵庫で始まり兵庫で終えたこの旅。南の音楽祭には参加でき、北の演劇祭はごく一部しか観れれなかったわけだが、インプットは大きかった。

学生時代、京都から城崎を通って鳥取砂丘にドライブした。すると砂丘の上、いつも部室で会っている音楽サークルの先輩二人が立っていた。なぜ先輩が200キロもテレポートしたのかさっぱりわからないが、それぐらいの偶然には慣れている。

この旅では、偶然会った人はいなかった(と思う)けど、
極度に人認識の劣化した僕だから、あるいは怪しい姿をご覧になったかもしれない。
ともあれ僕にはこの旅は、本当に必要だったということだ。

さてそろそろ帰ることとする。川沿いで、今通り過ぎた橋にかかる月に魅了される。撮ったあとで地図を見直すと、その橋を渡らねば帰れぬ。どうなってるんだ。

ガスを求めて京丹後に。どうせなら天橋立に行きたいと思う。

そして撮ったのが最後の写真だけど…よーわからんよね。

心のこりは、次回へのなんとやら。

うみとやまへのたび 伍

9.ε


羽合温泉(はわい温泉)の宿で目覚める。
ほぼセルフサービスで、なんとも気楽だ。
この旅で何度も遭遇した「丸窓」からの景色で目を覚まし、境界のよくわからない湖岸の駐車場で頭を使う。

しかし暑い。

途中、道の駅の隣まで行くが接続できない不思議な山道を登る。
これっって、意味があるんだろうか。
道の駅は素晴らしいロケーションだが、テナントが空きまくっていて勿体無い。草刈りもボランティアとのこと、明らかに追いついていない。
東郷湖岸に再び降りる。パラソルを閉じて。

この地は駐車場の気前がいい。だからより自然に触れられる。うちの周りなんて、全然だもんな。
いやまぁ、駐車場なんて完全に人間と車の都合で作ったものだし、自然には良いわけないし…

でもその先に、地代とか儲けとかの感覚が入ってくると、次の段階というか。
剥ぎ取ってくと、いろんなことが入れ子になっとるワイ。

鳥取市内へ。もう一つの湖、気になっていたので島に渡る。
キャンプにはいいのかな。展望台というところからは木が茂っていて何も見えない。


それでも和む。

改めて鳥取市内「たくみ工芸店」へ。

民藝には全然詳しくないので、店員さんに教えてもらいつつ、すてきなカップを買う。元々は「そばちょこ」らしい。


この青、よく出せるなぁ。

予定…思いつきからかなり遅くなったが、但馬は豊岡に向かう。

ナビと道が少しづつ食い違ってる。たぶん新しく道が出来たんだろう。

日本海に到着し、敢えて西に戻る。

居組漁港。水の綺麗さの次元が違ってた。

穴見海岸。「いいね!」に見えるらしい岩。蜻蛉の群れを収めることができたなら。

つづく

うみとやまへのたび 肆

9.δ

八頭と砂丘以外の鳥取ももっと巡ろうと。しかし所用が重なり多くは観れない。絞ることにする。
汽水空港に行きたい。
その一念で走り続ける。思ったよりかなり遠い。
ICをおりて、周囲の空気感に驚く。あっここ知ってる…というか、めちゃめちゃアットホーム。

湯梨浜町というその界隈は、東郷湖なる(正式には東郷池だろうか)穏やかな汽水湖をいだく。
そして目的の書店のちょうど前には、湖岸の国道に駐車スペースがあり、その向こうに発明したばかりの飛行機のようなオブジェが二体ある。
これって最高の場所やん。
パラソルを閉じたら広がるパラダイスちゃうん。

そして、汽水空港は、閉まっていた。


その翌日も、定休日だった。

タルマーリーでも定休日にお邪魔してしまった僕だが、流石に面識ない方にそれはできない。

よっぽどのことがなければ縁は一期零会だろうか。旅はもう少し下調べをしろということだ。

でもすっかりくたびれてしまったので、急遽宿を探し、オルタナ色極まる蛇口温泉とやらに泊まることにした。

夜は湖岸の月を撮ることにして。

つづく

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