螺旋と糊代

ある週末の記録。

この前と同じように、名古屋経由で西に行く。

10月、12月、そして1月。いや、12月はそのまま折り返したのか。

まず三重へ。正月明けからすぐにでも行きたかった nest にようやく辿り着く。

なぜならここは、降りてくる巣なのだ。なにがだ。

とはいえ、なんとかして自宅や湖周でインスピレーションを掬い、織り込んだ作品は
漸く完成した模様で、今回は喫緊の「降りてくれなきゃ」はない。

jazz の燈の下でふみつけるきおく。
実際、頭を空っぽにしたかっただけかもしれない。

雪景色を撮りながら、今じゃすっかり慣れてきた IC からのいく通りかの道を折れ、
名古屋に向かう。

逆やん。

逆やけど。今回はそうせやな、目的を達せられへん。

ライオンシアター、Kitri を観にいく。

入ってみるとなんと! “ライヴハウス” やん。
懐かしさと不思議なアットホームさを感じ、後ろで観る。

キトリを観るのも3年ぶり。社長さんの計らいだが、
俺、こんな歌上手い二人と一緒に、ハーモニーやってたこともあるんだな。

オーチャードホール、記録に残らないあの曲が蘇る。いや、でけへんけど。今は。

バンドネオンより一回りこぶりな、〇〇…なんて楽器だっけ
(コンサーティーナというらしい)

手動エレクトロニカ、連弾になったと思ったらすぐに右側に戻るヒナさん。

フロンティア、というか、パイレーツやなぁ。

女海賊、二人組、みたいな。

京都。学生時代からの友 Uくんに会う。
Stewart Copeland の “Police Diary” をお土産代わりに持っていく。

小綺麗になった学食を訪れ、喫茶店で色々話す。
ポリスとツェッペリンとビバップについて。ドラムについて。

阿闍梨餅をいただく。

音楽サークルもバイト先も東京もアメリカも、
一緒ではないけれども、パラレルに体験してきた友だ。
4年間の空白も、もっと前に戻せる。かけがえがない。

別れを告げ、帰る前に、今日こそ恵文社に行ってみようと思い立つ。なぜだか自分の中で敷居が高かった。

ダメ元で、しばらく消息がつかめない友に打診しつつ、一乗寺へ。
本屋のすばらしさに感動しつつ、なんと連絡が取れている。少し会う約束をする。

光嶋裕介さんの「ここちよさの建築」を買う。

秋の On Reading と逆のパターンで、その後でギャラリーに寄る。
展示がすてきだ。

海辺や夜の…青… がきれいなのだが、それだけではない。

暖色も、きりっとした輪郭も、やわらかさと同居している。
プレパラートから観た景色とでもいうか。

理系と文系のまじった画風というか。ありそうでない。

作者の萩結さん、少し話すと、浜松の方だった。

また好きな作家さんが増えた。

ギャラリーストアで売ってたカメラオブスキュラのミニチュア、欲しいなと思いつつ断念し、
書店を出、Kくんに会う(イニシャルが僕と同じだ)。

彼とも4年強、会えていないのに、ニックドレイクの Pink Moon や
彼とジェームステイラーのストリングスアレンジの「ねじれ」や
ギターが「なりすぎない」こと、ふつーに話せる。何事もなかったかのように。

ひとそれぞれ。このコロナ禍、止まったことも変わったことも、苦労もいろいろ。
それでもふしぎなことに、全然違う螺旋時間をつなぎとめることができる、謎の「のりしろ」があるようだ。

蹴上から京都を出て、いつものように高速に乗り損ね、ぐるぐる回って、夜半に帰着。

いいことがいっぱいあって、けして晴れてない夜空に

冬のダイアモンドが、まじで光ってた。

カペラ、ポルックス、プロキオン、シリウス、リゲル、アルデバラン。

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