アーカイブ: 2018年7月

こだいもじ

先週、灼熱の京都。
丸太町、川縁のとある駐車場。どう見ても入り口には見えない脇道を入って、本の家を訪れる。

縁側のある日本家屋、ミシマ社の本屋さん。

智頭のパン屋さん、タルマーリーのご一行とお会いする、がてら、お邪魔した次第。

—-

ちょうど七日前には、スタジオへ向かう灼熱の自由が丘で
同社東京オフィスの脇を歩いていたから不思議(あとから地図みて気づく)。

—-

まるで盆におばあちゃん家に帰ったような感覚。背後を走る子供達。
三方の本棚には、ずっと読んでいたくなるような本がいっぱい。

ソウルからの賢人も交えて、ちゃぶ台で先駆的な話が行き交う中、
僕は頭がサーマルスロットリングして大半は処理しきれなかったのだが、
それぐらいでよかったのだと思う。
いい加減な頭で話に向かうのも、いい加減だ。

後からじわじわきつつ、
湯の中で(なぜ湯なのだ?)思ったこと。

—-

「1984」や「THX1138」や
「銀河鉄道999」のメガロポリス、或いは「ロラックスおじさん」で描かれた
超管理、超格差、超情報統制社会

これらを、超間近に感じるにつけ

この人達はよく予言したなぁ、と思うのだけど、
これって警告であると同時に、暗示でもあり、あるいは、プレゼンでさえあったかもしれない。
「こういう手があったか!」みたいな。そういう人たちにとっては。

だが人は、想像に、ひっぱられていく。

なんでも前例主義の社会だけど、
あまりにも想像の完成度が高ければ、それは「前例」にもなってしまう。
想像の前例主義、とでも言うのかな。そんなのがあるかもしれない。

もし、ディストピアにそれだけの力があるのならば、その逆も然りで、
今を生きる僕たちは、もしかしたら、数十年後のために、違うビジョンを見せるために
想像していくべき、なのかもしれない。何度絶望しても。

そして、この瞬間もそれをやっている人たちが、いるのだな、ということ。

自分がそうなれるかは、ちゃんちゃらわからないけれども、
それでも、あきらめとったらあかんな、とは思った。

そんな感じだ。

—-

旧友とも会い、彼の頼もしさも再認識す。

—-

いくつか、ここしばらくで面白かった本のご紹介。

ミシマ社さん。

『究極の文字を求めて』松樟太郎
久々に何度も吹き出した、めっちゃおもろい本。
下から上へ読むオガム文字、UFOキャッチャーの如きグルムキー文字、
クリクリしたオリヤー文字。
自分のサインもままならない僕だが
これを読んで文字ごと作ろうという邪念が生じた。
いや、心の風が吹いている。

『あわいの力』安田登
能の世界は僕には未知だ。が、舞台芸術であるから、通じる道は当然感じる。
「心に代わる何か」というテーマ(への期待)は大きすぎて、まだ拾いきれないのだが、
安田さんが能のワキ方として、笛の修行「自分の音が出るまで」に費やした期間の心得は、深く突き刺さる。
僕が自分の声を見つけるのはいつになることやら。
人生の終わりまでには身につけたいな。
いや、そんな時間の感覚は、無用なのか。

そしてクルミド出版さんの本。

『草原からの手紙』寺井暁子
この方の文はなんとも魅力的で
なんでもないようなことが潤ってる。
東アフリカ、マサイの居住区を、
マサイの指導者エゼキエル、スコットランド人冒険家の子孫ジョン、
オランダやマサイの人々とともに歩く旅。
明け方の情景と音の描写が素敵だ。
「10年後、ともに会いに」もそうだったが
装丁からスタンスから徹底していて、宝物感が半端ない。

Retina…

iMac や Mac Pro で音楽をやる人が多いけれど
僕は移動が多いし、色々な状況を考えてもできるだけ身軽でいたいので
– それとは真逆の巨大な楽器を弾いているが –
据え置きのシステムを構築して、という発想がそもそもない。
モノを貯めようという嗜好がないのもその辺りだ。

そういう意味でラップトップは本当に素晴らしい。
ディスプレイを繋げられるときは2画面になるので、iMac よりむしろ体感性能も高い。

僕は2013年の頭からずっと、mid 2012 の MacBook Pro を使い倒している。
5年半働かせっぱなしのブラックユーザーなので、さすがにお役御免にしてやりたいのだが
薄型になってからの MBP にどうも踏み込めない。

先日中古で購入した mid 2015 Retina は必要な端子が全て揃ってそこそこ速いし、
CD 焼けない事除けば「最高の仕様」だったのだが、
少し使っているとすぐにファンが爆音で回り出し、そんな時は処理もガタ落ちして
…CPU 加熱と排熱とサーマルスロットリング (karnel_task) の問題で
とても録音やミックス、マスタリングに使える代物ではなく、結局売却してしまった。
Apple の検査で正常だったし、いろいろ設定変えたりリセットしてみたのだけど…
つまりは僕の用途や感覚が間違いということか??

おっかしいよなぁ…Retinaって、ファンの構造が革命的で、これまでになく静かです、っていうのが売りだったのに。

それ以来 mid 2012 を復活させているが、これが本当に静かで、
ファンがフルパワーで回る時でも、たいした音がしないので、マジで助かっている。
僕にとってはこのラップトップが一番で、それ以降の機種は妥協するしかないのか?
CPU クロックがあまり速くないのがいいのか、ある程度ボディの厚みがあるので、排熱効率がいいのか(多分両方だろう)。

でもそうもいかない。Display Port 兼ねてる Thunderbolt は1個しかないし、USB3 端子はもうへたってきて認識をこぼす時が多い。
CPU もさすがに世代が旧い。僕は基本、生音で音楽をやるので、virtual insrument の負荷はあまり問題にならないが、それでもいいプラグインを殆どかけられない、ということはある。

そんなこと以前に、アダプターの細いケーブルが断線しかかって融着テープで止めてる。電源ボタンの反応が鈍い。バッテリーが余ってるのに突如終了することがある。てか断末魔やんけ。

そんなうちに、Retina の新品はもう販売中止になってしまい、仕様を変えて違う個体の Retina を試すこともできなくなった。二度も中古を買うつもりはない。つまり、先日出た touch bar 最新型しか、交替の選択肢がなくなった。

2018モデルは、最上位、core i9 モデルでのスロットリング問題が言われて、加熱が激しくて本来の能力も発揮できないらしく、これ、まさにうちで Retina で体験したことやん? と思ったが、それはどうやら、僕が京都に行ってる間に OS アップデートで解消されたようだ。えっ、ソフトウェアで解決する問題なんか?
でも、ファンの音はどうなのだろう。CPU の加熱は物理的に防ぐしかなかろうに。

アップル専門店頭でいろいろと相談し、触らせてもらった限りでは…うーん、わからん。
許容範囲な気もするし、ちがうのかもしれんし。

排熱口の位置(ヒンジに隠れて斜め下向いてる)とかキーボード裏のシリコンカバーとか、空冷効果には期待できなさそうだ。

こればっかりは、持ち帰って使うしかないんよね。
でも、今の MBP、高いぞな。
途中でパーツ交換もできないし、USB-C も端子として貧弱っぽいから、3年も待たずして交代しそうな気がする。
最早、元取れんのか? というレベル。

割り切る?
だからって、もしうるさかったら録音する時に遮音をしたり冷蔵庫や箱に入れる?
そんなん理に合わない、解せない。

デモで試したりって、できないのかな。MacBook Pro。
mid 2012 が持ちこたえてくれてる間の、切実な悩み。なのだ。

Waltz for July


Waltz for July / stillbeat
online single – 7.26 release

微々たる力とは思いますが
この音源の収益を西日本豪雨災害への寄付金にいたします。

僕は近畿育ちながら、
豪雨期間ずっと、たまたま被害のなかった江戸で演奏していたこともあり、
今回被災された方々に対して、どうしても言葉を届けられる気がしません。
よって楽器だけの音楽にしました。

近江で作った、僕の最初期の曲です。


iTunes Store, Spotify などで配信中。
mora, e-onkyo, ototoy などではハイレゾ版も有ります。

ストリーミングではなく販売のみの方が
寄付面で遥かに実践的な気がしましたが、
被災された地域の方々にも気軽に聴いてもらえたら、という思いもあったりします。

その辺りは想像の及ぶところではなく、皆さまに委ねます。

ただ iTunes Store へのリンクも自分の方へ持っていく Apple Music のふるまい*には疑問があるので
今回ストリーミングは Spotify メインにしました(近日配信)。

まずは中央共同募金会(赤い羽根共同募金)に寄付予定です。
曲の配信期間は1年間です。寄付団体側の受付期間などを含め、秋以降は順次検討していきます。


* Apple Music, iTunes Store の挙動については引き続き調べ中です。ちゃんと振り分けてくれる設定もあるような反面、僕の iPhone ではそもそも iTunes Store に全く接続できず、聴く術がなくなってしまっています。バグかな? 困ったものだ。

zero [three five to seven eight]

週末は珍しく自分の時間も持てたので
思い立って録音

軌道修正、あるいは原点に帰って
インストゥルメンタル

言葉にならないことのために

今日一日で仕上げるつもりだったが
ダブルベース、ガットギター2本、フレットレスベース
朝から録ってると夜になってしまった。

僕は3拍子が好きで
節目になる曲は大抵ワルツかレゲエ。
これもその一つ。

たぶん昔からのバンド仲間一人ぐらいしか聴かせていない
最初期の曲の一つです。

今週中にはリリースしたい。

つきのうらがわ

とはいえ
この二つの半月に
起こった世の中のことは
とても書きようがないぐらいに
僕を脱力させてもいる。

水道の私有法案と処刑ショーと水害
カメラの裏側と報道の一極集中
賭博と自己責任とボランティア
本当に必要な復興と五つの輪

なんとかこれからも生き抜くつもりだが
一体どうして、こんなに未来に希望を持つのが
億劫になってしまったのだろう。

いいやちがうな、安易に言葉にできる
(それ故に安易に破壊されてしまう)
希望や未来というものに代わる何かに
もっと焦点を合わそうとして、却って無限に焦点が合わない。

僕らの命や運命はもともと、とても儚いし
それを徐々に徐々に、気づいていくだけだ。

嘘が溢れれば溢れるほど、しらじらしい真実は、
乾いた泥から現れる。

守る人はどこにいる。ここにいる。
守る自分はどこにいる。ここにいる。

10年前に書棚や想像上にあったシステムは、
もうすぐそこに迫っている。もう覆っている。
たぶんそれが大きいんだろうな。

音楽で忘れてるわけじゃ、ないんだよ。

音楽ですら信じられなくなるのが嫌だから、音楽をやってるけど。

half June & half July

半分、水無月、半分、文月。

この二つの半月は
内面外面ともにいろいろあり、書ききれる気もしませんが。

David Matthews vibe trio 関東公演ともいうべき、二本のギグ。
Dave さん(まーちゃん、というのが彼指定の呼称だが、さすがにここでは Dave さんとする)は The Hardest Working Man、あの James Brown のもとで、Bootsy & Catfish Collins とキャリアをスタートさせただけのことはあって、本当に精力的な人であり。
ほぼ毎年 Manhattan Jazz Orchestra や Manhattan Jazz Quintet のツアーをやり、昨年は3枚もアルバムを同時に出し、Seiko Jazz も手がけ、今年は Eddie Gomez さん、Steve Gadd さんとトリオアルバムをさらっと出す。
そんでもってこれからまた MJO のツアー。

完全なレジェンドなのに、誰よりも気さくで、僕を呼んでライヴしてくれる。
もちろん嬉しいのだが、毎度身が引き締まる思いです。
といいつつ本番はやっぱり、楽しいに尽きますね。

そういう星の下で生まれた人なのか、Dave さんはずっとビッグなことをやってきている人だけど、間近で彼のピアノを聴ける、彼のピアノと絡んでいる僕たちの音を聴いてもらえる場所はほんと貴重だと思う。何故なら、説明のつかないスペシャルがあるから。それは何か。
体験してもらうしかない。

これからも頑張ろうと思います。
いつでも、来週でも一緒にやろう! と言ってくれるまーちゃんに感謝しつつ、ほんとに、何度でもご一緒したいな。

そして、宅間善之さん、たくちゃん、
頼りになる、素敵な vibraphone で引っ張ってくれるナイスガイ。
こういう感じの人は、久しぶりに会ったなぁ。
トリオ編成でも、他でも、また縁があるといいな、と思っとります。

混じってくださった佐々木優花さん、Ryu Miho さんもありがとう!

SETSU FUKUSHIMA さんの、ソロアルバムリリースパーティ。
縁あって CM の録音にいくつか参加させてもらい、その折に「ソロアルバム作るんです」と声をかけてもらった流れで、スタジオそしてステージに。
敏腕 CM 音楽プロデューサー、スタジオ経営者である福島節さんは音楽を楽しむこと、人生を楽しむこと、希望をかなえていくこと、
そういったことにすごく才能のある人なんだな、とつくづく感じる時間でした。

仕事がうまくいかなければ、そういった境地に立てないのかもしれないし、
それとは別に、気の持ちよう、あるいは天性のものなのかもしれない。
それとも、いろいろな人の力を、プラスに集められる人なのかもしれません。

いずれにせよ、僕にそれを語る資質はあまりない気がするけれど、
僕にも少しだけできることがあって、それはその場に立って演奏することなのかもな、
と、改めて思ったり。
これって、どんな音楽ジャンルでも通じるけど、ちょっと違ったりもする。

コーラスやソロをあまりやらないと、違うスタンスに立てたりして、
「ベースに専念して」と言われると、それはそれでとても楽しいんですね。
さらに、かっちり作ったアルバムとはまた違って、ジャム感も適度にあり。

織田さん、平田さんのミュージシャンシップにも驚いたし、
その場に来てくれた長尾真奈ちゃんや優河ちゃんやザチパくんの、それぞれの音楽、人生のパワーにも、感じいるものがありました。

それから、SETSU さんのソロアルバム、ジャケットと装丁がモノ凄いんです。
詩のレイアウトや紙質イラスト配色、ここまでやれればなぁ。

写真は後日。

7.7 にアルバムをリリース。

river silver [side a]

直前まで stillbeat 名義にしようと思いつつ、またタイポグラフィーで遊んだあげく、ray kondo にしました。
「A面」といっているように、これは16分の8、つまり16曲アルバムの、前編8曲です。
river silver by ray kondo という詩集を作ったとき、やるやると言いつつ詐欺になりかけていたのですが、一年少し遅れて、ようやく出しました。
“river silver” = 「銀河」にかけてこの日にしたわけです。

CD版プレスの予定はありませんが、詩集を買ってくださった方が気軽に聴けるようということもあって、ストリーミングを主にしています。もちろんダウンロード販売もやっています。
とはいえ Apple は iTunes Store をフェードアウトするようだし、最早ミュージシャンは作品を売るという道が絶たれてしまいそうな気配。
(無論一部のミュージシャンは違います。パッケージが売れてる人や独力でCDやアナログのプレスをする人、流通やライヴ会場で買って楽しんでくれる人は素晴らしいと思います。が、これからどうすべ? ということ)

このアルバム、詩集と同じく完全一人手作りなのですが、
ひとつだけコンセプトがあって、それは「ステレオで大音量で聴くアルバムではない」ということです。

僕は家でステレオで大音量で音楽を聴けない。
スピーカーはあるけど、90%はヘッドフォンで音楽に触れています。

内容もとってもパーソナルだし、イヤフォンやヘッドフォンで、聴きたい人が、こそっと聴いてくれれば、それでいいというか、それがいいです。
ついでに、ぷっと笑ってくれれば、もっといい。

たまに、スピーカーで聴いてもよかったよ、と言ってくれる人がいたら、それはそれで嬉しいけど
(神谷くんみたいな人ね)
まぁ今後の研究課題です。聴いてくださった方々、ありがとう!

後半 [side b] は、追って制作に入ります。

それと並行して作っている、第二詩集付属音源 “flat five tapes”、12曲までできましたが、その後の4曲がなかなか仕上がらない。
めちゃんこオモロくなる筈なのだけど、つくづく音を重ねるって簡単じゃないな、と思い知らされております。
これも、今年中には16曲までアップロードして、それからアルバムに整えて、年内〜来年3月までにはリリースしたい、です。

そしてその次の作品はコラボ&インストにしようと思っていて、よりステレオ向きな、ものができるかもしれません。
たぶん来年だと思いますが、気長に、或いは待たずして待っていてください。
勝手に作っているだけなので。
その時は名義を stillbeat に戻そうかな。

J-WAVE LIVE 2018。終わったところで、余韻で却ってうまく書けませんが
大きな舞台で、才人の後ろに立って波動を届けるというのは、快感です。
去年までは ohashiTrio special band としてあれだけ色々な音を出したのだから、重ねた責任みたいなものも、残っている感覚もあるし、
同時に、今回はいい感じのアウェイ感もあるのかもしれない。

あと面白かったのが、今年は出ずっぱりじゃないので、他の人を観れたこと。
レキシもハナレグミもバンドは知り合い多数ながら、久々にあう人たちばかりなのでとても刺激的かつ、嬉しいものでした。

タカシさんの歌声は、ほんと、響くなぁ。

Calendar

2018年7月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

Category