アーカイブ: 2021年11月19日

もうひとつの月蝕

9.19 満月 ならびに月蝕

前日は夕刻にくっきり見えた月ではあるが、今宵はあやうい。
17時すぎ 雲間からあらわれる 廊下 ならびに 窓からも見える

が、どうせならと湖に向かう。
道中どんどん雲行きが怪しくなり湖岸に着くと
見事に雲に隠れてしまった。

水鳥一声、波の音 辺りは誰もいない。

これはこれで風情のあるものだが…風情か?

しばらく前にこんなことがあったような気がする。半年ほど前だろうか。
あの時は確か、3人組のおじさんがカメラや望遠鏡設置して、全く観えないねー観えなかったですねーと

今回は、誰もいないのである。

すると突然、原っぱを走る群衆…子供が数人か? のような、只ならぬ音と気配
振り返ると、頭上を「→」が進んでいった。

黒い、水鳥の群れだ。見えるか見えないかの空から、見えるか見えないかの湖面へ着水。

これも風情か?

引き続き誰もいない。それどころか、月は出る兆しもない。
ほんとにこちらは東だろうか、ほんとに月はあったのだろうか?

よく見えない湖面、こういうのもいいものだ。僕は暗い景色がとても好きだが、けっして上手くカメラでは撮れない。
少なくとも、これまで持ったカメラはどれひとつ、僕の欲しい夜の風景を撮れた試しがない。もうカメラはあきらめてしまった。

やがて、右の湖面からツイートが聞こえる。

今度は左から、返信。

tweeter はスピーカーの高域担当部分だが、これは鳥のさえずりから来ている。
twitter も、語源はこれと同様だったと思う。一個一個は tweet っていうもんね。

ツイートし合う鳥。彼らがほんもんで、人間がバーチャルでやってるあれは、真似っこだったんだね。

暗いぼんやりとした空と湖面と鳥のツイートにぼんやりが増し、時間の経つのをわすれていると
いつの間にかぼんやりした黄色いものが浮かんでいる。

というか
細いぞ。

漸く現れた月蝕に、なんだか安心して帰ろうと思う。最後に撮影。
スマホの限界
ってやつだ。

土手をあがると、親子連れ。ちょうど見えたから、いらっしゃったのかな。
グラウンドを歩いていると、また一人大人。楽しんでってくださいね。


中村佳穂ちゃんが、なんと紅白に出るという。
さすがにめでたいので、ごくごくさりげなく祝福表明すると
なんとそれを拾ってくれる。

彼女の大活躍はもちろん知っているが、唯一ご一緒したのは5年半前の 公園通りクラシックス
最後にお会いしたのは4年半前だ。名古屋の BL Cafe。今池のイベント、赤い靴を手伝ったときの対バンだった。最初は これ です。
それから彼女は超活躍してて、忙しい中、僕の相手をする必要などまったくない筈なんだけど、
さすがですね… この気配りも、彼女のすごいところです。


NHK ホールといえば、奇しくもあれはちょうど一年前だった。
以来僕は、一度も東京に行っていない。

あの日の都内感染確認者は500人超えで、その後と桁が違うのだけど、
公演後、僕はすぐにハンドルを握って長距離運転、夜中の3時に念のための仮宅に着いたのだった。

そして、無音の部屋で2週間。音楽をすればするほど、音を出せない。

そんな生活が続けられるわけもなく、採算も合わずに演奏仕事を止めたのが今年の1月。
以来、生きるための仕事をひたすら続けながら、合間に創作、録音に励んでいる、というのが僕の日々だ。

これでいいのだ。

と思いつつ、さすがに、これでいいのだろうか、とも思った夜中。
まいったまいった。


数日後に、写真を改めて見直す。どうやらぼんやりとした月の上に、ぼんやりとした月の形の雲が浮かんでいる。

小学生の頃を思い返し、一句

月蝕や見護る有明月の雲

れい

愛しのライヴパフォーマー

これを最初に書いた時は、11月がはじまって最初の週末でした。

とはいえ迷っているうちに、次とその次の週末も過ぎました。キリがないので日付 [11.19] にて。


この月は新月、半月とリメイク作品を発表してきたのですが、
今夜は音源ではなく、区切りとしてお伝えします。
満月と月蝕の素晴らしい夜には、あまり馴染まないかもしれぬ。

まず、僕は今年の1月末、ステージでの演奏活動を止めました。
これはコロナ禍に伴うものですが、
自分や周囲への感染防止に加えて、生活、経済、体力、心理上など様々な理由がありました。

10月以降の感染確認者激減により、各地で一気にいろいろなライヴ再開、ですね。
待ちに待ってた! という人もいっぱい、いるでしょう。

今後のコロナはまだ予断を許さない、と僕は思っていますが、感染が収まっているときに生の音楽を奏で、場を共有できるというのはすばらしい事です。

僕に関しては、演奏活動再開の予定はありません。
サポートであれ、自分のであれ。
一番したいのは、自分や仲間の、ごく小さな会場での活動なのですが。

コロナ前も、長距離移動や複数の仕事とハイレベルの演奏活動と、休みない状態で、かなりの無茶をくり広げてきました。楽しかったですけどね。

お客よりスタッフが多いイベントから何万人のスタジアムまで、ゴスペル、レゲエ、ロックンロールからジャズ、ポエトリー、ミュージカル、クラシック。TV の生もいくつかありました。人前で演奏をしたり、パフォーマンスを行う、ということの宝物はよく知っています。とても。

これからも演し物のビジョンは沢山持ってたし、パフォーマーとしても、次の段階がクリアに見えていました。

にも関わらず、ここ二年近くをソーシャルディスタンスで過ごしていて、ライヴしたくて堪らないと思うことは殆どありませんでした。

冷温停止したのか、去っていったのか。それはわからないです。


 


僕はやはり音楽が好きで、レコード(アナログを楽しめる環境はありませんが)を聴き込んだり、流し聴きしたり、深読みしたり、音だけでも楽しめる人であり、その上で言葉も含め、表現したいことを今もたくさん持っています。

既にここ数年続けてきたことですが、これからはそちらに力を注ぎます。

まだまだ決定的にいくつものことが欠けていて、克服にもブレイクスルーにも、時間がかかると思う。その過程で「売れる」ことはなかなかないでしょう。

が、これが自分の生きた証だという音楽をのこしていくつもりです。

僕にも多くの人と同じように、人生という現実があります。フリーランスはこれからますます厳しい世の中ですが、生きるための仕事をこなした上で、限られた時間を捻り出して音楽をやっていく。

よって、演奏のオファーをいただいたとしても、リアルタイムはほぼ夢物語です。
とはいえリモートなら現実的かもしれません。作詞作曲なら、喜んでやります。

まぁ、もともと夢物語みたいな人間なのですが。

こんなのもひとつの生き方だと思ってます。
世界にも日本にも人はあまりに多い。音楽家だからといって同じような道を行く必要はない。

前回東京に行ってから1年が経ちました。ありがとよ、東の都。

もし興味があったら、これからも作品を聴いてください。
もしよければ、BandcampCD など、ご支援いただければ嬉しいです。

なにかをみつけだしたい。

Thanks a million,
Ray

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