「月刊」ラティーナ が休刊だそうだ。
なんてこった。特につながりもないけど、あの雑誌は僕が昨今、唯一買ってる音楽雑誌。
いつも本当に面白かった。
書店で気軽に手に入るかというとそうでもないので、時間ある時に恵比寿のオフィスを訪れ、
新刊とバックナンバー、ついでに南米の CD を何枚か買って…というここ数年だった。
もっとキャリアができたら? 何か書かせて欲しいなぁと淡い夢をいだいてたのに、
さっさと夢は潰える。
どんな事情かは存じませんが、紙媒体での出版って、やっぱり、大変なんでしょうか?
今からいろんな人がアクション起こせば、続行、なんてことにならないのかな。
僕もだいぶ昔、音楽誌で執筆してたことがあった。
ベース関連の雑誌では、嘗て、かなり書きました。
楽器や CD のレビューから講座から、海外アーティストのインタビューや解説から、
譜面や自作のフレーズや、曲まで制作してた。
いつも締め切りに追われ、また国際電話や滞在先への取材も含めたインタビューにと、その緊張は半端なかったが、なんとかこなしていた。
Marcus Miller とべースを交換してジャムできたり、Richard Bona の話が面白かったり、Michelle Ndegeochello に靴下の色を褒められたり、Phish の Mike Gordon と夢話で盛り上がったり、Jeff Berlin や Brian Bromberg や Alain Caron がとってもいい事をいってくれたり、
Sting には会えなかったけど Police の写真集を撮った Danny と話ができたり
… Mick Karn や Chris Squire にもあいたかったなぁ …
編集部の方も良く変わり、僕も、演奏活動やその他とのバランスが取りにくくなってきて
書かなくなって久しい。
が、書いた(PewerMac G4 のキーボードに打ち込んだ)文字や譜面が
雑誌という形になって読んでもらえる、というのは本当に快感だった。
web や SNS で書くことが、誰にとっても当たり前になった今だけど、
紙媒体での経験をさせてもらった事には本当に感謝している。
できることなら、ミュージシャンと並行してたまに書ければうれしい。
まぁこれも、淡い夢の一つである。
きた仕事をこなす、時間あるときに思いついた音楽を作る、
そのどちらかしかないフリーランスのミュージシャン。
売れっ子ならば前者が圧倒的に大変で、
後者はむしろ、日々の生活が充実しているか、あるいはよほど
浮世離れしていないと、だろう。
どちらも想像できるが、僕はどちらとも違うレイヤーにいる。
ワーカホリックと自由な創作を両立するって、理想でもあるけど
どうやったら実現できるのだろう。
そこで、真逆をやることにする。
ロードマップを作ってしまう。個人でもギリギリ可能なことを、やってみる。
折角、巻き込む人もいないのだから。
僕は人を「使う」という概念がない。
人にお願いすることはあるが、そのへんが、自分が名を成さない理由の一つだとは
薄々気づいている。
演奏に限らず色んな仕事をしてきたけど、何かにしがみついたり、プライドを持つのがどうも苦手だ。
人の反対側や、時に前面に出るのは好きだけど、上には立ちたくない。あまり。
構造の中にいると上意下達に組み込まれてしまう。
社会でも、真面目な人が嘘を言わされてしまったり、そこから枝分かれした人が人を傷つけ倒すのが、見ていて辛いのだ。統合は分断のはじまりなのだ。たぶん。
零でいたい。
それが最終的に、無に帰するのか、どうかはわからない。
無で本望。最終的にだまったあと、どんな姿をしているか。姿がなくなったら。
話が重く - あるいは無重力になったが
そのためには、何か作っていくしかないし、
定期的に何かを出していく、というのは、とてもいい縛りだと思うのだ。
手で触れない音楽配信という形態で何を作れるか。
そうして作っていったものが、追って別の形になるのか、ならないのか。
ロードマップに話を戻す。
流通を通す場合、音楽作品は水曜日リリース、という決まりがある。
オンライン配信には、決まりはない。
僕はゾロ目に妙に 愛着 執着があって
たとえば「1111」をラッキーアイテムだと思っている。
道を歩いたり運転しているとき何かを思いつき
「1111」のナンバープレートが視界に入れば、
それは正しい、と思いこんでいる。
そんなんで、昨年までは配信もゾロ目の日に合わせてきたのだが
今年は 1.11 に「わらい x きみ」を出したあと、ふとある事に気づいた。その日は満月だった。
次に “Waltz for July” を(全然7月じゃないが)再リリース計画したが
ターゲットの 1.25 は新月だった。
ならば。
今年、ある書店で買った卓上カレンダーは、月の満ち欠けが書いてあるのだ。
というか、買うのが遅く、それしか売れ残ってなかったのだ。ならば。
今年一年は、満月と新月に合わせて、何かを配信してみよう。
それが、ほんとの、「月刊」だろ。
カレンダーの月以上に、実際の月と同期する。
新曲、リメイク、試作あるいは発展、
日本語、英語、朗読、インストゥルメンタル、ゆるふわ、シュール、それは決めない。
名義も stillbeat、Ray Kondo、どっちでも。
仕事その他でかなり難しくなる事も、予想できる。
時に人の助けもお願いするかもしれないので、そうなると先方のスケジュールもある。
が、やってみる。
次の配信 は 2.24。明日というか、2時間後です。
よろしくどうぞ。
Ray