Mana Nagao / Go Deep / The Cover
2020.6.10 release
長尾真奈さんとの出会いは2011年に遡る。
ある午後、数年ぶりかにドラマー田中慶一から連絡をもらった。
シンガーソングライターのライヴというお誘いだった。
慶一とは、Mika Arisaka バンド、とらジャム、ハミングキッチン、そして 01 [ゼロワン] 以来のリズムセクションであるし、当時は最強だと自負していた(僕のごく周囲の話だ)。彼が Urb やアフロックスで活躍してから疎遠になってしまったが、久しぶりに一緒に音を出せるのならと即応した。
真奈さん、慶一、そしてギターの田島拓くんと出会ったのは下北のスタジオだったか。
その前に送ってもらっていた曲たちがあまりにもユニークで、歌が透き通っていて、どうなるかとても楽しみにしていた。ピアノとギターとドラムと、フレットレスベース。
ベルベットサンで行ったライヴは、彼女を以前から知るだろうファンにも溢れ、スリルと新鮮さと落ち着きがまじった素晴らしいものだった。慶一はハコの古い Yamaha のキットを叩き、拓ちゃんはファズが強力に響いてたっけ。真奈ちゃんはピアノ弾き語りなので舞台の下手にいてあまり客席から見えず、僕は真ん中で座って、これでいいのかと若干居心地が悪かった(ピアノの人とやるといつも、ベーシストの立ち位置、座り位置では悩むものなのです)。終わった後のお客さんの一人のセリフ「まなちゃん、デビューしなよ」が、記憶に残っている。
それから彼女の自主制作アルバムに呼んでもらった。僕は宅録でのベース録音とデータ送付 – 今でいうリモート – だったが、彼女は西へ東へ、毎週旅してアルバムを作り続けたらしい。”First Light” は関西チームの録音も含めて、全編、純粋な曲と躍動感に満ちている。これもいずれ配信されないかなぁ。
翌2012年には渋谷や蒲郡、リリパも含めて数回ライヴできたが、2013年からしばらく間が空いてしまう。その間、別の現場でも仕事をしていたバンドの二人とも、やがて疎遠になってしまった。こちらがお願いしていた現場がなかなか動かなかったことも一因ではあるが、他にもっと機会をつくれなかったのか、悔いが残る。慶一はやがて、旅立った。
いつか都内で活動を再開した彼女に、ギグで久々にご一緒できたのは…2017年か。カバーとオリジナルを交えて大磯プリンスホテルのロビーでやった2度の演奏は、デュオも、トリオも(オープンスペースのフリーライヴ企画だったが)、いい音楽を聴いてもらえたな、と思っている。
その際に今のレーベル Reborn Wood の方々にお会いし、いつか録音でも、という話をいただいていた。
トリオでドラムをお願いしたのが、神谷洵平くんだ。
そしてオリジナルアルバムを2018年末に録音し、カバーアルバムを2019年末に録音した。
カバーアルバムの方は、選曲や、アレンジの方向性など、ディレクションにも参加させていただいた。
そして今年春リリース。より確かになったオリジナルと、原曲が生まれ変わったようなアコースティックでのカバー。
長いような短いような、コロナ禍もあって僕はライヴにも協力できず、歯痒さもあるのだが、彼女の素晴らしい歌と音楽が、世界中に広がることを、願っているのです。
2019年、オリジナルアルバム完成後のトリオライヴ、7th floor にて。
Carnelian
Turtle Neck