蝉丸

昨夜は曲のリリース日にもかかわらず
関係ないようなことを綴ったので
(いや、関係あるのだが)

少し Aero の解説を。

まず、かつての Adbaloo の zero と、この Aero は、ベースラインは同じだがその他はすべて、似ても似つきません。Yuka のボーカルは代えがたいものだし、僕には絶対あんな唄は無理なので、違う方向を行きました。歌詞も、Yuka はもっとシンプル、ポジティブな人。


このジャケットは、あたりを自転車で回りながら、気になった壁や設備? を撮ってレイヤーしたものです。丸くて透明で、汚れていて、暑さに凍りそうで…っていう。

ジャケを作るまでは、打ち込みのドラム全開だったのだけど、なにかイメージが違うなと思って、ブラシで叩いたスネアトラックに差し替え、マシンは単純なショットだけにしました。ハットとキックは自分の叩いた音の配置です。

僕はハイハットが好きすぎるので、今回は単調に、おとなしく。

ほんとは…イントロに加えようと思っていた音があって、
それはあえなく失敗しました。その顛末。


夕暮れに川辺を自転車で走っていると、ものっすごいグルーヴで鳴いている一羽のセミがいた。
めちゃファンキー。ダンサブル。おまえセミDJアゲ太郎かよ。いや、蝉丸か。
これを録ろうか、走り抜けようか。

走り抜けてしまった僕は、その後ずいぶん走って、他のセミの群れが、だんだん明け方のクラブの閉店のごとく鳴き止むのを聴きながら、あのセミ太郎が忘れられず、引き返す。

ずいぶん走って、同じ場所。セミ太郎はいた。疲れたのか飽きたのか、だいぶBPMが上がっていたがまだ鳴いていた。

あとでタイムストレッチかけようかと思いながら、iPhone のレコーダーを回す。
その瞬間、物凄い音で鳴り出した、人工音があった。
…√√√√√√√√√√√√√√√√√√…電動ノコギリだ。
おっちゃんが二人、間際で大工仕事を始めたのだ。全く気配もなかったのに、なんで今。
…√√√√√√√√√√√√√√√√√√…………………….
ノコギリが止み、セミも鳴き止んだ。

僕の人生は、だいたいこんなことばっかりだ。タイミング外すのは、絶妙なんだよな。

蝉丸あなたはどう思うか。あふ坂の関で幾多の人の行き来を見た盲目の法師。耳という目。
僕も、昔は原付で毎日超えていたんですよ。


歌詞については、解釈みなさんに委ねます。虚無かもしれないし希望かもしれない。

ただひとつ、「砂の浜辺にお帰り」というのは、何か、「砂」って、人間がじたばたと作り出してる文明とかを嘲笑う、物事の根元かもしれないな、と思って。

猫が砂をトイレにするのも、なにか哲学じゃないかなと。

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