情緒のある監視カメラ

Life is Beautiful

中島聡さんのブログである。
最近ちっとも更新しないなぁと思っていたら
たくさんのエントリーが上がっていた。(9/23の夜時点で。さらにそれから沢山上がっている)

ブログの性質上、記事を逆順に読んでしまうので、読者としての僕は著者の意図を遡るわけだが、
伝達手段としての文章力のつけ方というところから、それは簡潔に意図を伝えるため、
発端としては人間にとってアウトプットがいかに大事か(違いを生み出すか)という話だった。

小学生には読書感想文は不要(文章力をつけるための教材としては不適切)という意見などとてもおもしろいし、組織においてはメールを簡潔にする(そのかわりに全従業員に対して目を通し返事をする)ことの大切さもわかる。

この人は自身で仰っているように Windows 95 を作った一人でありブログの先駆者という著名人であるし、パーソナルブランディングに長けている人である。
僕自身も、2009辺りから技術者の知人に教えてもらって以来、時折読んでいるが、示唆も多く、また 日米関係 などについても、目を覚まさせてくれて感謝している。

で、アウトプットと自己ブランディングについて。
これはどうも僕が苦手なところである。
苦手というのは原因がたぶん幾重にもあるので、
人から直接間接的にどう諭されても(さとしさん、という名には、人にさとす、という所もあるのだろうか。名は人を表すというから)そう簡単に変わるものではない。

さておき現代。
普段のその人の性格がどうであれ、ネットのおかげで誰もがアウトプットをできるようになった。
タイピングがある程度得意になれば、日記を筆記用具で連ねるよりよほど早く、思ったことを書ける。
書くことによってまとまらない意識をまとめる役にも立つし、それを(止める人もいないわけであるから)クリックして投稿することは、池に石を投げるようなもので現代においては普通の遊びなのだろう。
実際に、近くにいるのに会話よりも早くネットに投稿する人が、僕の周りにも沢山いたし、現在もそうだ。

だから、フツーの人間関係を維持するには常時接続していないと、みたいな強迫観念も、出てくる。

SNSがあって、情報が太く集まりやすくなっているから、人はそれをより利用するし、
そのシステムそのものを利用して、マーケティングやプロパガンダも当然動いてる。

元来、広告(マーケティング)とは戦争が終わって役割を失った(ように見えた)プロパガンダ(大衆誘導)が姿を変えたものだ、
という意見があって、僕はこれがものすごく腑に落ちている。

だから、結局のところ、アウトプットしなきゃ、と思ってせっせと流れに乗ることは、
勉強にも切磋琢磨にもなるが、流れに乗せられることにもつながる。
自己責任としてのタイムスタンプ付きで。

僕が常に醒めてるのは、そのへんである。

なぜならタダほど怖いものはない。タダなのに盛り上がってる業界って、莫大な援助や利権が動いてる。
シミュレーションゲームがこれだけ盛り上がれば、無人機を使った戦争への動員がしやすくなる。
人格が破壊されてるかもわからないうちに、人を破壊できてしまう。誰が喜ぶ。

監視カメラの思う壺、ってことだ。

文章には情緒は不要。あいまいなものを伝える前に事実を伝え、評価できる形を作る。
これによって、国語の先生も採点がしやすくなり、生徒の学習も着実になる。そうなのだろう。

というわけで、ひねくれ者の私が思いついたのは以下である。

「情緒のわかる監視カメラ」

事実をひたすら記録するのではなく、そこに感情的解釈を加えることによって
独自の世界観を記録するカメラがこの世に、たとえばあなたのいるその空間に10台あるとすれば、
そこにはどんなストーリーが展開されているだろう。

新幹線の車間にぎゅうぎゅう詰めで立ちっぱなしの人々を映し出す監視カメラが、
この人は野球帽の下ではにかみながら、片手で酒のビニール袋をぶらさげ片手で子供たちを守りながら、イイ顔してんなぁ、とか
だったら背景は夕陽色だろとかこの辺はシャローフォーカスしよとか
(聡さんの「ランドセルとは」文例を借用すれば…ちなみに僕はこの文例が好きだ)リュックから手足が生えたような錯視からB級のSFを勝手に始めるとか、
この人とこの人に30分前の乗客の話を聞かせたらこうなるよという妄想を勝手に作るとか

後から記録を紐解く、係員か捜査員かビッグブラザーか何者かはわからない、がそんな何某が
目的を失って混乱し、ストーリーに見入って涙してしまう、酔ってしまう。

すると、監視カメラそのものの目的がよくわからなくなってしまい、四六時中カメラに監られている日常も、少しは平和に、楽しく、安全になる。少なくともそういう錯覚に陥ることができる。

…ここまで書いて気がついた。
それは、もうインスタがやっていることだ。
無数のパーソナリティとスマホのカメラとアプリが、せっせとやっている。

困ったもんだよ。マジで。

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