リハーサルの合間
さるエンジニアさんが
「遠征先のホテルでラーメンを食べようとしたその瞬間、箸がないことに気づいた」
その試練の顛末を知らせてくれた。
これはわかる。すごくよくわかる。
僕はその昔、学校の水道と照りつける初秋の日光とで焼きそばUFOを温めて食ったことがあるが
サバイバルはいつだって人間の基本だ。
彼は「コメント用のペンと引き出しの鉛筆を巧みに使って、ラーメンを食した」そうである。
インクや黒鉛がラウメンに染み出さなかったことを願うしかない。
また、ある言葉の巨匠さんは、「私は、歯ブラシを使って食べたよ」との驚くべき証言をくれた。
歯ブラシか…歯ブラシが二本、備わっていたのか…?
いや、もしおいらがその境遇なら、間違いなくその歯ブラシを使っただろう。
そして、「モノを食べながら、同時に歯を磨く」…という超現実を叶える時間の剃刀に、
slip, slidin’ awayという、ポール・サイモンばりの詩情をうかべたに、ちがいない。
まず、間違いない。おわり。