アーカイブ: 2016年5月23日

ten and eleven

10 (TEN) ツアー再開。10本目は熊本公演。

先週壊れてしまったキャリーカートを修理し、
なんとしても寝坊せぬと気合を入れて眠る。

朝。気分を変えてモノレール。「整備場」を二つ乗り越し、機上の人。
ゲートセキュリティが厳しくなってるのか、直前に買ったコーヒーに目をつける検査員。
「ひとくち、のんでいただけますか?」

いいですよ。というかこれイイやり方だと思うけど、
ほんとにアブない人なら、飲んだふりすると思うから…
…しっかり見ておくれよ

wing519

翔び、風に乗り、西に向かい、
脚が陸についたら、走り出す。
熊本には、何年も前からずっと行きたかった、やっと行ける。
短い滞在だけど…

「野田目」って、ほんとに福岡にある地名なんだ、とか
熊本県に入ってすぐの「和水」って、「なごみ」なんだ、とか
場所の名、それだけで感じること、しきり。

以下、大幅に話は逸れますが

位置情報ONにして地図をみると走行の様子がわかる。
これって…GPS情報的には、車の走行速度もサーバーに筒抜けってことだよな。
スマホ持ってなくても、今の車ならカーナビにこんな機能付いてるだろうし
「警察による各人のGPS情報調査が可能になる(なった?)」っていうのは
理屈的には、警察がGPSデータベースにアクセスできれば
自動でバンバン速度取り締まりなんかも可能ってことだよねぇ。
なんなら、遠隔操作で課金したり、停止させたりもできるんじゃないの?
さじ加減次第で。

さらに、そのうち「◯◯km/時上乗せで走りたいから、いくらチャージする。はい/いいえ」みたいなオプションが付くんじゃないの? あのへんの業者が、そんなビジネス始めるんじゃないの?
CO2排出権ビジネスよろしく、Car速度権ビジネス。
しれっと、それが当たり前の社会になっちゃうんじゃないの?

ほんとに大事なこと、置いといてさ…

ぼくの想像力はどうもディストピアばかり幻視してしまってて、
同時に、それをなんとかひっくり返そうとしてる、この頃。

音楽も、競争ととらえる人が、そういう機会が、この世にとても多いなぁと思う。
僕も時折そんな風に捉えて、はぁと嫌になる。
でも、競うことをずっと避けてもいられない。

先日、ベストセラーなのに何故か入手不可の本を探しまくって本屋をハシゴし、
代わりに買った宮下奈都の平積み本。全く違う本だけど、この一節すばらしい。

音楽は、人生を楽しむためのものだ。はっきりと思った。決して誰かと競うようなものじゃない。競ったとしても、勝負はあらかじめ決まっている。楽しんだものの勝ちだ。
– 羊と鋼の森 –

車は走る。そして着く。熊本城の石垣が見える場所、赤紙の貼られた建物も近くにある場所、
そして、そこから入ったライヴハウスB.9。

b9-stage-from-foh

ライヴハウス。
ホールもいいけど、これミュージシャンの原点。
ツアー直前に観た、LEO今井バンドのライヴを思い返す。

リハが終わって、flexlife に会う。
昨年師走の代官山、Weekend Garage Tokyo 以来。
そういえばあそこにも、小型のキャンピングトレーラーがあったっけ。

りえんぬ、けんさん、かんちゃん。
かんちゃんはマイケルの”Smooth Criminal”ダンスがお気に入りで、
よく「斜めになってエアーのハットを押さえる」らしい。

flex-521

商店街を歩き、いろいろ話す。
4人でオムライスを2皿シェアすることになる。

本番は説明しにくいモードなのだけど
そこに立ってるだけで、嬉しかった。
この場にいれて、何かが、音楽させてくれた、です。

演者は観てくれる人たちがいるから演者であって
そこで自分の中で表したかったことがようやく出てきたり、するのだろう。

改めてもっといい音楽家になりたい、と願う。
通常とは違う感覚、今も知らないことだらけ。

この場を体験できたことは幸せだった。
荒井由美のあの声を、少しだけおもう。

滞在予定のホテルが使えなくなってしまっていて、福岡の宿に移動。

また来ます、ゆっくり来たいです。
みなさんどうかお元気で。

ほんとにありがとう。

翌朝。

ねぼけた頭を身体にのっけて、走り出す。
平和台…これは、昔「平和台球場」があったところなのか?

とてつもなく広い、楕円形の大濠公園。濠というより小さい湖だ。
動物の多さに目が行く。
鯉の大群、亀の大群、トンビ、そして…

かわいすぎる、雛鳥。

kamo1

人は、ここで思い思いに時を過ごしているのでしょう。
人工だけれど自然の力が上回っているような、静と動の空間。
昨年福岡にきたときは、街行く人の熱量に正直圧倒されたのだが
別の面を見たような、こっちの勝手な思い込みが剥がれたような、そんな昼。

次の朝は、なんとなしに街を歩く。初夏並みの風が心地よい。
三角州のあたり、橋の上のベンチから見渡す。どこか京都のよう。
「貴賓館」を素通りしたあと、どうもひっかかって後ずさり、入ることにする。
撮影禁止、入館料240円。他に来館者はいない。
解説をお願いすると、館長らしきおじさんが気さくに、ゆっくりといろいろ話してくれた。

  • 博多は埋め立てが多く、ここが建った当時は目の前が海だったこと
  • 贅を尽くした建物だが、戦中戦後、何度も持ち主/目的が変わったこと…ビリヤード場、軍司令部、裁判所…
  • 当時のガラスは、波打っていたこと(そこからの眺め、味があってよかった)
  • 縦開きの窓は、軽く動かせるように左右に分銅がしこんであること
  • 各部屋の天井四隅に、まるで換気扇があるかのような吸排気孔があり、その模様がいかしていること
  • 暖炉は当時開通したばかりの瓦斯を使ったストーブだったこと
  • 戦時中、金属の部材は軍に接収されたこと
  • それでも一部、金属製叩き出し(!)の天井があること
  • 11年前の局部直下地震で、ここも被害にあったこと
  • つまり、そこにも(人々の知らない)断層があったこと
  • その時(彼曰く)初めて、津波の可能性についての報道があったこと
  • 復旧に数年を要したこと

「れんが館」もおすすめとのことだったが、入りに間に合わないので諦める。
途中、オクトーバーフェスならぬ「A級グルメフェス」? を通過する。
長崎は青島の、美味しそうな蒲鉾を買って帰る。

昨秋演奏した市役所前広場に立つ。人がいるといないので、場所の広さも全然違って見えるのが不思議だ。
…人がいる方が、広く見えるやん…

福岡市民会館。ここは大好きなホールだ。音がまろやか、かつクリアなのだ。
それにこの模様もいい。表しているのは無邪気に遊ぶ人か、音の波なのか。

fuku-hall-wall

本番。
特別な時間。
最高。

「押忍」が「おはようございます」の略というのは、思いつきだけど本当らしい。
ドリフのあの番組ではいつも「おはようございます!」「おはようございます!」「静かにしろ〜!」というやりとりがなされていたわけだ。毎週土曜の、夜8時に。

九州北部、ありがとうございました。

多謝。これに尽きます。

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