トロールの誕生

最近の睡眠の友は

「トーヴェ・ヤンソンとガルムの世界」(冨原眞弓)という本だ。

ムーミン作者、トーヴェの背景に関する著述で

ほんわかしてるのかと思いきやとんでもなく

彼女の父母の世代からの、フィンランドとスウェーデンやロシア、
ナチスドイツ、その他の内外情勢と
風刺雑誌「ガルム」の筆頭漫画家としての活動から、ムーミン誕生を探るという
めちゃくちゃ難解な記録&考察となっている。

お気づきかもしれないが、この場合の睡眠の友というのは

心地よく眠れる

のではなく

難しすぎて眠くなる

ということである。

割と速読の自分が、この本は難解すぎて全く読み進めない。
何しろ、北欧の人文地理にも疎いので、次から次へと出てくる人名や地理名を
頭のテーブルに載せるだけでも大変だ。
(テーブル、というのは、揮発性メモリ = RAM みたいなもので、咀嚼する間にあくまで一時的に並べるという意味だ。理解する、という事はそもそも放棄している)

しかし凄まじいのは、トーヴェの母、シグネ(彼女も「ガルム」の筆頭漫画家だった)の時代の、フィンランド国内のさまざまな政治信条、イデオロギーの軋轢のすさまじさだ。*

隣国スウェーデンとの近親憎悪(にみえる)、母国語や、自国のアイデンティティを形成する「物語」を巡っての学生や政治家の運動などを読んでいると、学ぶことがいっぱいありそうな気がする。

アジアでも、要するに日本でも同じなんだよな。
そして、現在進行形でも。
これをやってる(やってきた)人が、世界中にはびっくりするほど沢山、いるっていうことだ。

詩人や芸術家がある勢力に利用されたり、あるいは逆に擦り寄ったり、
人間のあり方がどれだけ危うく、またどれだけ歪んでいるかも見てしまう。

つまり、単に文が難解なだけではなく、そのことに気が遠くなって、
眠るしかなくなるのだ。

まだまだ本の7章途中で、全部で20章あるので、いつ読み終わるのか、
その時に何か学んでいるのか、わからないのだが。

* あまりのことに、「凄まじサンドイッチ」してしまいました。悪い文の見本です。

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