村上春樹はずっと好きなんだけど
今回のはびっくりするぐらい、後味が残らなかったなぁ…
(極力バイアスをかけないため、他人の意見は一切読まないうちに記している)
色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年
IQ84は3部とも好きで(特に3が好きだった)
特に牛川と青豆と、千葉県佐倉市に感情移入するぐらいだったのだが
今回ははぁ、という印象。
だからといって、分かりやすい文だから、読み返すかどうかはわからず。
途中の、ピアニスト緑川の告白の下りはぞくっと来たのだが。
「名古屋」「浜松」という場所に対する視点に、特別深いものを感じられなかったことと
(311以降にも関わらず?)
主人公たちが結ばれる場面が後半のいいところに設定されていなかったこと、
すなわち冒頭ですでに完性されちゃってたこと、
まぁ、たぶんそういう要素なんだと思う。
「ハードボイルド・ワンダーランド」型が好きやな、と改めておもう。
でも、緑川と「シロ」のピアニストとしての関連について探ると面白いかな、とか
青海「おうみ」をもっと知るといいかな、とか
やっぱりいろんな「符号」はある。
内田樹さんが良く書いてるように作品の中に「倍音」を形成するための要素、
僕の解釈でいえば月がそうであるように「誰のものでもないくせに、誰のものとも思わせる」要素、
そういうものは、最初から散りばめられてる。
たとえば僕については、「おうみ」もそう。
だけどな。
ま、いいか。
[追記]
あのあと、読み返すことはないけど、
脳内再読して、染みてくるところはある。
自分の蓑の中での眠りからようやく醒めたら、より厳しい現実も見ることになる。
…覚醒を促してくれた本人がそれを与えるわけだから、シビアよな。
エンターテインメントというより、リアリスティック。