もう一度朝市通りへ。
おむすびやさんが閉じていたのは残念、だが通りに一軒の店が開いている。
カウンターがあったので喫茶店も兼ねているのかと、入る。

塗師さんが故郷で建てたコーヒーハウスKALPAさん。
奇跡的に風向きが変わったことで、あの大火を免れたのだという。
その塗師、八重門さんは次のため更に修練を積み、店にはお母様が立っている。
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来年か再来年、朝市は復活する。だが本当に間に合うという実感がない、
やるといったらやるんだろうけどね…
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半数に減った輪島の人口。
一般の人にも沢山来てほしい。迷惑と思わなくていい…
そうですよね! と割り切れるものではないのだけど、
きさくなお話しぶりに、なんだか逆に、力をもらう。
輪島塗の製作工程が25段階で紹介されていた。最初の「木地」の段階ですでに芸術品の気がするのに、
塗っては削り、塗っては削り、珪藻土(地の粉)を混ぜたり、布を着せたり。
反復と時間と技が磨いていく漆器づくりは、音楽にも大いに通じると思うのです。
もちろん、道を極めるには、幾度気を失っても山を登り、
何度もうみに抱かれねばならない。
入り口にすら届かない自分でも、それは感じ取れるのです。

