アーカイブ: 2021年7月12日

コナラとトマト

梅雨明け。ずっと雨だった。今年は

去年はもっと早く夏が来た気がする。確か、七夕のころは灼熱だった。

今年は二組の燕がうちに来て交代で巣を作った。まもなく二組目が巣立つところだ。
交代というと仲が良いようだが実際はそうではない。一組目の燕を追い出したのだ。

何度も卵を落とされ、雛になっても落とされ、一羽だけが残った一組目の燕の子。その間もずっと二組目はあたりを旋回していた。
巣を乗っ取ろうという気配だった。

親が旅立つ日。その子どもは巣から落下して動けなくなり、親も助けられないと思ったのか、この空域に姿がない。
せめて埋葬してやろうと手ですくおうとした刹那、動き出した子どもはそのまま仰角をとって離陸し、一直線に旅出った。驚異的だった。親に合流できたのかはわからない。

それから二組目は、しれっと別の場所に巣を作り、たったひとつの卵を育てた。あたりの燕はとっくに巣立っているので彼らはかなりの後発だ。

それでものんびりと育てる彼らの姿に、憎悪など感じることはできない。自然は、化かし合い、なのだろう。

彼ら親子は今日、一度巣を空けたあと、また戻ってきた。明日あたりには本当に旅立つだろうか。


6月の後半(22日とある)の正午すぎ、ふと廊下に出ると、
宅配ボックス代わりのプラ箱の底でバタバタしていたオスのノコギリクワガタ。
クワガタなんて子供のころ以来だ。せっかくなので育ててみる。

昔は黒蜜みたいな餌を調合していた記憶もあるが、
調べるとキュウリやバナナやトマトを食べるというので、プランターのミニトマトをやったりする。
人間をどう思っているかはしらないが、警戒心もなく腕を登ったりするのが、なんともかわいい。

最初は内羽が畳みきれてなくて、怪我してるかと思ったけど翌日から治っていた。二度と翔ぶことはなかったのだが。

なんなら手からトマトを食べてくれるので、こいつけっこうかわいい。
挟まれると、強烈いたい。
そんなわけで、自然に返したいとも思いつつ、コナラやクヌギの林を見つけるまではと思い、少し大きな水槽に木や土を整えて飼う。
寂しそうなので、雌もつかまえて… いやそれとも、
宅配ボックスに入ってくるのを待ち…きれないので、DIY センターで買ってきて、入れてやった。
いつも土に潜っているがパワフルなレディだった。

やっぱり、それからは楽しそうに、面白おかしく暮らしてくれて、なんだかとても、癒しになった。

梅雨も明け、やっと、この暑い夏を、楽しく過ごそうと思っていた矢先、
彼は命を落とした。

ミニトマトが熟すまでもう一晩待とう、明日はバナナも買ってきてやろう、と思っていたら、いきなりの熱帯夜に餌が変質したに違いない。
ノコギリクワガタのオスは、ひっくり返って動かなくなっていた。
両手を組むように、クワを閉じ。

久しぶりに…こたえたな。完全に俺のせいだ。

最近なんだか、たまたま買った福岡伸一さんのコラム集や、ドラゴン桜のケンタくんなどの影響か、昆虫がやけに身近に思えてたこともあって
……
……
……
いのちは、偉大だ。それを預かることの重さと、閉じ込める責任と、愛情を持っても死なせてしまう、それってなんだろうな。

なんだろな。この週末は、けっこうこたえたのでした。
雌はまだ元気だったけど、一刻も早く自然に返してあげようと(餌の毒性で土がやられているかもしれない)あたりを探し回り、林の中になんとかコナラらしき大きな樹を見つけ、放した。
出自は養殖かもしれないが、この子は強いはずだ。どうか元気ですごしてくれ。

子供の頃は、ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタ、ヒラタクワガタと周りにいたし、忍びの里に帰省すればカブトムシにもたくさん会えた。マムシやスズメバチもいたが。

で、僕はカブトよりクワガタ派だった。

久しぶりに観察したクワガタってやっぱ、すごい。造形も動作も、なにか、すばらしい。
またいつか、どこかで会いたいなと思いつつ、軽々しく会いたくない。

君のかわりは、どこにもいないのだ。

ごめんよ、そして2週間少し、ありがとうな。

ノコギリクワガタってベースっぽい

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